疑わしきは罰してしまえ

こんにちは、ゆうゆーです。

裁判では、「疑わしきは罰せず」という原則があります。
また裁判以前の警察の捜査の段階でも、証拠がなければ逮捕はできません。

例えば、ある小さな街で殺人事件が起きたとします。
被害者は、Aさんという人物です。
そして、その街の住人の中にBさんという人物がいて、
このBさんは明らかに素行が悪く、そのことが街の中でも噂になっていて、
またAさんに対して恨みがあるのか、今までAさんに何度も暴行を繰り返しては、
警察沙汰になっていました。

さて、この状況では誰がどう見ても「Aさんを殺した犯人はBさんだ」と、
推測できるでしょう。
ただ、これだけではもちろん警察は、Bさんを逮捕することはできません。

なぜなら、Bさんが犯人ではない可能性も少しはあるからです。
もし「疑わしい」というだけの理由でBさんを逮捕してしまったら、
もしも違っていた時には大問題になってしまいます。
警察は、100%絶対に間違えてはいけないのです。
これでも実際には誤認逮捕もありますから、結果的には100%ではないのですが・・・。

話は変わりまして、先日投稿しましたエスクリに関する記事の中で、

「知らないものには投資しない、が原則ではないのか?
エスクリの競争優位性が何であるかも知らないのに、
競争優位性を持っている可能性が高いというだけで、投資していいのか?」


といった旨のコメントをいただきました。

もちろん、私はそんなエスクリに投資しているのですから、
同社を「投資に値する企業だ」と判断しているわけです。

これが警察だったら、冒頭の話で書いたように許されないことです。
「この人が犯人の確率は80%くらいだ」という程度の状況証拠のみでは、
逮捕してよいはずがありません。
だから、警察は決定的な証拠である「物的証拠」を探すのです。

警察には、決定的な証拠がないと逮捕できないという面倒な縛りがありますが、
個人投資家が自由に行う株式投資には、そんな縛りはありません。

「この銘柄を今買えば、80%くらいの確率で勝てる」と思っているならば、
その株を持たないよりは、持つ方がいいに決まっています。
もちろん、他に90%の確率で勝てるような銘柄がたくさんあるのならば話は別ですが・・・。

完璧主義は、株式投資においては足かせとなる可能性があります。
「理解している企業に投資しなければならない」と聞くと、
その企業の何から何まで、完璧に理解していないと投資してはいけない、
という風に聞こえてしまいがちですが、
その企業の何から何まで知っている人など、いるはずがありません。
社長だって、会社の持つ潜在的なリスクを全て把握できてはいないでしょう。

とはいえ、全く何も分からないまま投資するのであれば、
サルにダーツを投げさせて銘柄を選ぶことと変わりありません。

どれくらい知っていれば「理解している」とするかは人それぞれですが、
私はエスクリに対しては、事業内容は概ね理解しており、
成長ストーリーも、成長余地も、不況耐性も概ね理解しているつもりです。
さらに競争優位性だって、いろんな状況証拠を積み重ね、
「存在するであろう」というところまでは一応、理解しているわけです。

私の場合、この程度まで理解していれば、
それは理解しているものと判断して十分、投資対象になり得ますね。

投資で成功するために重要なのは、どれだけ多くを知っているかではなく、
自分が知らないことをどれだけ現実的に規定できるかということです。
投資家は、大きな失敗を避けてさえいれば、
あとは正しい判断をほんの少しだけすればよいのです。
【ウォーレン・バフェット】


疑わしきは罰せず、という考え方は、株式投資ではもったいない考え方です。
疑わしきは罰してしまうのが、本当の合理的な考え方ではないでしょうか?
だって疑わしいんですから、疑って当然でしょう(笑)

たとえ間違えて、無実の銘柄に投資してしまうことになったとしても、
裁判と違ってそんなに大きな問題にはならないのですから・・・。
もちろん、いつも間違ってばかりなどというのでは話になりませんが。

100%の確信を持てる銘柄の出現を待っていたら、株など一生買えません。
90%の自信が持てるような銘柄も、そうそうあるものではありません。

ですので、「80%の自信がある銘柄をポートフォリオの一部に組み入れる」
というのは、素晴らしい投資行動であると私は思います。

コメント

No title
大きなウェイトを占める競争優位性も知らずに、「80%自信ある!」と言えるのがすごいですね。
会社ホームページを見た程度の知識で、「100%知ってる人はない!」と言えるのもすごい。
競争優位性は知らなくても「理解しているもの」と・・・。

しっかりした哲学が気に入って見てたけど、所詮哲学なんかより低PERを優先する初心者ですね。
エストラストみたいに、さんざん理論を展開したあげく「やっぱり売った」とかならないように。
エストラストは何故早く売ってしまったのでしょう?
あのね
ゆうゆーさんが何を買おうと何を売ろうと、君らには関係ないだろ。
ごちゃごちゃ煩いんだよ。
Re: No title
名無しさん

すみませんが、何を言っているのか理解できない部分がありました。
分かる部分だけ返事をさせていただきます。

>所詮哲学なんかより低PERを優先する初心者ですね。

「低PERで買う」ということ自体が、私の投資哲学の中に入っています。
ですので、低PERを重視するのは当たり前です。
もちろん、低PER「だけ」を重視しているわけではありません。

>エストラストみたいに、さんざん理論を展開したあげく
>「やっぱり売った」とかならないように。

確かに、エストラストはそのようになってしまいました。
利益こそ出ているものの、これは失敗取引の一つと言えるでしょう。

ただ、5銘柄買えば1~2銘柄はそのようになることは初めから分かっていた話で、
もしもエスクリで同じようなことになったとしても、
「こういうことも起こり得るだろう」としか、私は思いませんね。
もちろん、想定のどこが悪かったのかの反省は必要ですが。

80%の自信ということは、20%は失敗すると思っている、ということです。
一つや二つ失敗したって、別にどうってことはありません。
バフェットやリンチだって、失敗は数多く経験しているはずです。
要は、トータルで勝てばよいのです。
Re: タイトルなし
グリーンさん

ハピネットを買うための資金を確保する目的が一つと、
改めて分析した結果、不況耐性に一抹の不安を覚えたからです。

同社については、リーマンショックを増収増益で乗り越えている、という実績を
不況耐性の拠り所にしていましたが、AKIさんの素晴らしいコメントを受け、
自分なりによく考えてみた結果、売却を決断しました。
http://yuyutoushi.blog.fc2.com/blog-entry-219.html
Re: あのね
相場師さん

フォローありがとうございます。
いろいろご意見をいただけるのは私にとってもありがたいことなのですが、
前回の記事に関するコメントも含め、相手が不快にならないように
皆様もう少し書き方には配慮してほしいものです。
No title
質問です!
ヒト・コミュニケーションズをもう一度買う予定はありますか?
Re: No title
カイジさん

ヒトコムですか・・・よほど安くなれば買いたいですが、私の評価では、
今の株価ではギリギリ買えるかどうか・・・というくらいの割安さですね。
他に買い増したい銘柄もありますので、ヒトコムは後回しになりそうです。
No title
競争優位性って、銘柄分析の中では一番重要ですよね?

でも、それを知らずに80%自信があるっていうのは、低PER「だけ」と、言えなくもないでしょう。

それで会社概要やIRを読んだ程度の知識で、「理解しているもの」でしょうか?
Re: No title
名無しさん

誤解されているかもしれませんが、私はエスクリの競争優位性について、
記事に挙げた状況証拠から「存在する」という結論をきちんと得ています。
「何も知らない」などとは一言も言っていません。

ちなみに私の投資法では、競争優位性の他にも重要な要素はあります。
成長ストーリーの有無、今後の成長余地、不況耐性、財務の健全性などです。
いくら他社には負けなくとも、これ以上成長の伸びしろがなかったり、
不況で大ダメージを受けてしまうような企業なら、私は買えませんね。
成長企業の敵は、他社だけではありません。

私の投資哲学では、まず成長ストーリーありきです。
そして、成長ストーリー崩れの三大要因を全てクリアできて、
初めて投資対象になり得ます。
http://yuyutoushi.blog.fc2.com/blog-entry-244.html
初コメです。
いつも更新楽しみにしています。

もちろん自分の考えと違うこともありますが、それも含めて毎回色々学ばせて頂いています。

読者が増えたせいか、最近「本当にそれ人に質問するときの態度!?」というコメントを見かけますが、是非懲りることなくこれからも独自の分析を続けて下さい。応援しています。

PS みなさん、コメする時は日常生活で使う丁寧な言葉で建設的な議論にしましょうよ。ゆうゆーさんは紳士的に対応されていると思いますよ。
Re: タイトルなし
相場が荒れてるから? さん、はじめまして。

そうですね、最近かなり辛辣なコメントが増えてきました。
批判も一つの意見ですし、コメントを頂けることに感謝しなければならない反面、
やはりモラルは守っていただきたいものです。

もちろん、私と異なる考え方を持つ方がいるのは当たり前のことですし、
(私だって、バフェットやリンチとは意見が異なる場合もあります・・・)
私自身、いろいろな経験を通して昔とは考え方が変わることもあると思いますが、
それも含めて、参考にするなり楽しんでいただけたらと思います。

これからも、炎上を恐れず(笑)、独自の理論を書き続けてゆこうと思います。
No title
ゆうゆーさん、こんばんは。

今回の記事は私も大変共感いたします。

様々な投資スタイルがあると思いますが、
やはり対象となる企業のことを、
自分なりに深く分析を行い、
自分なりの基準に照らして評価を行い、
投資行動をすることが大事だと認識しています。

残念ながら、私はまだ井の中の蛙(?)状態で、
相場に裏切られることの方が圧倒的に多いのですが、
分析を行い自分なりの仮説を持っていることは、
納得性のある投資に直結します。

納得性のある投資を心掛けることで、
意に反して値下がりしてロスを出したとしても、
悔しい気持ちはありますが、
自分なりのプロセスを踏んでいれば、
反省の余地もありますし、
その失敗を次に生かすこともできます。

記事にもある通り、100%を目指しても、
実際に知れるところは限られていますし、
私のようなサラリーマントレーダーでは、
触れられる情報にも限りがあります。
それでも仮説を積み上げ、自分なりに納得がいくレベルまで
分析を深められれば(それが記事でいう80%なのでしょう)、
投資をするというのが自然な判断だと思います。

100%知ることは目指すものではありますが、
到達できるものではありません。
経営者だって、機関投資家だって予見することは難しいでしょう。

何が言いたかったかというと、
まずゆうゆーさんの方向性に共感したことをお伝えしたかったのと、
様々な意見がある中で、ゆうゆーさんは異なる意見にも
きちんと真摯に向き合っておられて素晴らしいと思いました。

投資の経験だけでなく、
様々な方々おられますが、
ぜひ、今後もブログを楽しみにしております。

No title
今回一連の名無しです。

ゆうゆーさんのリンクを見て、疑問点がだいぶおさまりました。
「成長ストーリー最優先」的なことが書いてあって、決してバフェットたちの真似をするとは書いてないので、これこそゆうゆー投資法のオリジナリティですね。

私はバフェットのファンの立場から、競争優位性も知らずに「理解してる」ことにしてる点には、いまだちょっと同意できない部分はあります。
他のファンドマネジャーが見ても怒るでしょう。

ただ、その部分を除いて、丁寧にお返事くれたのはありがとうございました。
以前もアークランドを売ろうと思った時、このブログが思いとどまらせてくれたり、他の銘柄でも間接的に利益につなげてくれたので、これからも有益なブログ、応援しております。
Re: No title
まるのんさん、こんにちは。

そうですね、結果的に正しかろうと間違っていようと、
自分で考えた末の行動でないことには、次につながりませんからね。

まるのんさんのブログ、いつも拝見させていただいていますが、
上のコメントに書いてくださったことをまさに有言実行しておられることが、
よく伝わってくるブログになっていると思います。

また、他人の意見に素直に耳を傾けるというのは、簡単そうに見えて、
実は結構難しいことだと思います。
自分の意見と異なる意見に対しては、つい反論してしまいたくなりますからね。

私はとにかく、内容に着目して他人の意見を聞こうと心がけています。
たとえ誰が発言していようと、納得できる意見には耳を傾けるべきですし、
納得できない意見なら受け入れる必要はないのですから。

市場は、長期的に見れば必ず合理的に動くものだと私は思っていますから、
合理的だと思える意見には素直に耳を傾けておくことは、
自分にとっても大きくプラスになるような気がしています。

これからもお褒めの言葉がいただけるよう、精進してゆきたいと思います。
まるのんさんのブログも、これからも楽しみにしています。
Re: No title
アークランドさん、こんにちは。

記事の中で書きました、

>私はエスクリに対しては、事業内容は概ね理解しており、
>成長ストーリーも、成長余地も、不況耐性も概ね理解しているつもりです。
>さらに競争優位性だって、いろんな状況証拠を積み重ね、
>「存在するであろう」というところまでは一応、理解しているわけです。

>私の場合、この程度まで理解していれば、
>それは理解しているものと判断して十分、投資対象になり得ますね。

という六行が、今の私の投資スキルの全てを表しています。
おっしゃる通り、バフェットならこの程度の理解度では買わないかもしれません。

とはいえ、成長ストーリーも無けりゃ成長余地も大して無く、不況耐性も弱く、
競争優位性だってよく分からないTOPIXに投資するよりは、
完璧ではないながらもある程度は理解しているエスクリに投資する方が、
期待値としては圧倒的に高いと考え、投資しています。

誰に怒られようが、これが現時点での私の最良の選択肢なわけです。

罵詈雑言などは聞くにも値しませんが、たとえ私の意見とは違ったとしても、
有益な議論であれば歓迎しますので、今後ともよろしくお願いします。
No title
おはようございます。

>誰に怒られようが、これが現時点での私の最良の選択肢なわけです。

怒ると表現したのはバフェット流に因んだ「理解している」という言葉に対してであって、投資手法については、合理性があるとみんな思ってると思いますので悪しからず。

その表現に対しては、バフェットも怒ると思います。
でも、「ゆうゆー投資法的には」理解してることだと、私もよくわかりました。

ところで、昨日もお仕事中に返事くれたりしましたが、ゆうゆーさんはどんなお仕事をやっていますか?
Re: No title
アークランドさん

「競争優位性を理解している」の定義がはっきりしないので、
アークランドさんとは話が平行線になっているのだと思います。

私は、エスクリの競争優位性について、

①何らかの競争優位性を持っていることは、理解している。
②競争優位性の中身(具体的に何がどう優位であるか)は、理解していない。

ということが言いたいわけです。

①②の両方を理解できていて初めて「理解している」と定義するのであれば、
私はエスクリに関しては①だけですから、理解していないことになりますね。

ただ、同じ「理解していない」でも、①は理解できているのと、
①も理解できていないのでは、大違いなのではなかろうか? と思うのです。
(ちなみに、①さえも理解できていなければ私も投資はしません)

だから、競争優位性について全く考慮していないような言い方をされるのは、
私としては心外なのです。

また申し訳ありませんが、プライベートに関するご質問にはお答えできません。
気が向けばどこかでまた記事にでもしたいと思います。
No title
「理解」については、おおむね見解の違う理由がわかりましたね。

プライベートの質問には答えないという件に関しては、個人投資家へ100の質問の方で、かなりたくさんのプライベートの質問に答えていらしゃったようなので、質問しました。

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