成長ストーリー・その3[認知度向上型]

こんにちは、ゆうゆーです。

成長ストーリーシリーズの続きです。
本日紹介するのは、次の成長ストーリーです。

成長ストーリー名 : 認知度向上型

成長速度  : ★★★★★(速い)
成長期間  : ★★(やや短い)
成長コスト : ★★★★(やや低い)
成長安定性 : ★★★★★(高い)

■概要
これは、既に商品やサービスが存在しているものの、
それがまだ世間に広く知れ渡っておらず、
(あるいは、知られていても何らかの理由でまだ利用されておらず)
「こんないいものがあったのか!」と認知する人が増えてゆくとともに、
売上も利益もそれに伴って伸びてゆく、という成長ストーリーです。

成長産業の中にある企業に多く見られるのが特徴で、
それもそのはず、市場そのものの成長がこれに該当しているからです。
薄型テレビにしても、インターネットにしても、スマホにしても、
それらの商品やサービスが確立されて即、全国民に広まったわけではなく、
それなりの時間をかけて世の中に浸透していったわけです。

「それなりに時間をかけて」とは言っても、
他の成長ストーリーに比べれば、高い成長率での成長を遂げるでしょう。

■解説
<成長速度>
企業がどのくらい認知に力を入れているかにより、まちまちではありますが、
成長速度はかなり速い場合がほとんどで、
感覚的には年率20%以上は期待できるような気がします。
もしブームに乗ることができれば、年率1000%まであり得るでしょう。

<成長期間>
成長速度が速いだけあって成長限界の到来も早く、
成長期間は長いとは言えません。
ただ、はっきり言って成長限界の時期が読みづらい成長ストーリーです。

「この商品はまだまだ広まりそうだ」などの感覚的なものに頼らざるを得ない、
というのが私の結論です。
ガラケーとスマホのシェアが、何:何 になった時にスマホの伸びが止まるか、
予測するのが難しいことと同じです。

あえて読む方法を挙げるとすれば、業績などの推移を見ることでしょうか。
売上の増加ペースが鈍ってくれば危険信号です。
それでも決算発表は3ヶ月に一回だけなので、
できれば月次情報を公開している企業が望ましいところです。

<成長コスト>
認知度向上型におけるコストとは、主に広告宣伝費になるでしょう。
もちろん、世間に広く認知させることを推進するためです。

広告宣伝費などはあまりかけずに、
成長速度を落として安定成長を目指せば良さそうなものですが、
この手の成長企業にはライバルも多いのです。
商品によほどの強みを持っていなければシェア拡大競争になることが多く、
広告宣伝費を削ることは致命傷になってしまうため、削るに削れません。

とはいえ、所詮は広告宣伝費ですから、
設備投資に費用をかけることを思えば、それほどお金はかからないはずです。

ただ、これよりもさらにお金のかからない成長ストーリーも存在しますので、
星4つとしています。

<成長安定性>
この成長ストーリーについても、エリア拡大型と同じように、
軌道に乗れば安定性は高いと思います。

「ある場所で売れる商品は、他の同じような場所でもたいてい売れる」
ということを前提としたエリア拡大型に対し、認知度向上型は、
「ある人が気に入る商品は、他の同じような人もたいてい気に入る」
ということを前提としています。

その商品のことを気に入るであろう人間の大半に知れ渡るまでは、
安定した成長を遂げられるであろうことは、容易に想像できます。

■企業例
この成長ストーリーを持つ分かりやすい事例では、ガンホーのパズドラや、
ネット生保の先駆けであるライフネット生命(なかなか軌道に乗りませんが)、
ミクシィ等のSNS運営会社、出会い系サイトなどが、これに当てはまります。
どれも、既に存在するものを世間に広めることで成長を遂げています。
(ただし、それぞれ商品寿命が全く異なりますので注意が必要です)

楽天市場などは、掲載ショップ数や商品数を増やすことでお客さんを増やし、
さらに楽天市場自体の認知度を上げることで、お客さんを増やしてきました。
つまり、「新商品導入型」と「認知度向上型」の合わせ技による成長と言えます。

ちなみに、このブログのアクセス数の成長もこれに当てはまるでしょう。
つまり成長の終焉も早いだろう、ということです・・・(;_;)

■まとめ
この成長ストーリーは、とにかく成長率の高い企業がたくさんあります。
当たれば爆発的に資産は増えてゆくでしょう。
ただ、その分成長の終焉も早く、その時期をいち早く見極める力が必要ですが、
それが難しいのも特徴の一つと言えそうです。

また成長産業に多いせいか、往々にして過大評価されており(高PER)、
ハイリスク・ハイリターンな投資になることも少なくありません。
成長限界の時期を見誤ると、業績の悪化とPERの低下のダブルパンチで、
思わぬ痛手を負ってしまう可能性があります。
特にブーム性のある商品(パズドラ?)の場合は、注意が必要です。

企業の将来性を見る目の本当に優れた方であれば、その成長率の高さゆえ、
何よりも高いリターンをもたらしてくれる可能性はあると思います。
「今後の成長余地」の判断が大きくモノを言う成長ストーリーだと言えます。

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