増資は悪なのか?

こんにちは、ゆうゆーです。

相互リンクさせていただいているまるのんさんやkobaさんをはじめ、
多くの方が、今回のALサービスの公募増資についてブログに書かれており、
興味深く読ませていただきました。
だいたいの方は似たような見解を持っているようで、私も同じように思います。

この機会ですので、公募増資について少し考えてみたいと思います。

まず、公募増資の発表があった銘柄は、
希薄化の懸念により翌営業日は大きく下げるのが定番のようです。
もちろん、ALサービスも例にもれずに二日間で10%近くも下がってしまいました・・・。

例えば、1億円の価値がある企業が10万株発行していた場合、
100株(一単元)あたりの価値は、1億円÷10万株=1,000円となります。

そこでこの企業が、2万株の増資を発表したとします。
すると、上の数式の分母が12万株に増えてしまいますので、
その分、株価が下がってしまうのも納得できるような気もします。

ですが、ここで忘れてはいけないのは、
増資により企業にはお金が入ってくる、ということです。
それはつまり企業価値の上昇を意味しますので、上の数式で言うなら、
分母だけではなく分子も増える、ということになるのです。
なので、「発行済株式数が2倍になれば、株価は1/2になる」というのは、理論的に間違っています。
あくまで理論上の話ですが、株価は1/2までは下がらないはずです。


よって、増資に対する私の見方としては、
「増資は一概に悪材料だとは言えない」というものであり、
その増資は企業にとってどんな意味があるのか、が大切だと考えます。

きちんとした目的を持った適切な増資であれば、
むしろ株価は上がってもよいのではなかろうか? と私は思っています。

また、自社株買いや配当(増配)はこの逆のパターンですね。
これらが発表されると、決まったように株価は上がりますが、
自社株買いにせよ増配にせよ、企業のお金は減ることになるのですから、
これだけで好材料と判断するのは拙速だと思います。

自社株買いの場合は、分母も分子も共に減ることになりますし、
配当の場合は直接お金がもらえる分、分子のみが減ることになるのです。

この場合も、その自社株買いや配当は企業にとってどんな意味があるのか
ここに注目すべきだと思っています。

キャッシュがたくさん余っていて、それを自社株買いや配当に回すのなら、
それは素晴らしい選択と言えるでしょうが、
銀行でお金を借りてそれを自社株買いや配当に回しているのだとしたら、
それは好材料ではなく、むしろ悪材料だと言えるかもしれません。

配当のある会社の株は、無配株と比べて、
エキストラの収入を期待する投資家たちに歓迎されることとなる。
(中略)
しかし、私の見るところでは、有配もしくは無配の場合も含めて、
配当がその会社の価値にどんな影響を与えているかが最も大切なのである。
【ピーター・リンチ】



・・・さて、そのような目で今回のALサービスの増資について考えてみると、
ALサービスは無借金でキャッシュを多く蓄えていますので、
正直言って、増資など必要なかったように私は思います。

これがもしもエスクリだったとしたら、増資の意図はよく分かりますし、
甘んじて受け入れるとともに買い増しを検討していたと思いますが、
私の保有株の中でも一番、増資とは無縁の銘柄だと思っていましたので、
ALサービスの今回の発表は本当に意外でした。
自分の保有株ながら、今回のような意図不明の増資では株価は下がって当然かもしれませんね。

もちろん、成長ストーリーには何の影響もないので売りはしませんが、
ちょっと疑問を抱えたまま週末を迎えることになりそうです・・・。

コメント

No title
多くの企業は、資本コストを超える投資ができないと、投資家が考えているから、株価が下がるのです。
100億円増資して、年間毎年、10億円以上の純利益が上がるビジネスか否か?
Re: No title
通りすがりさん

私もそのように思います。
記事中の数式で言うなら、分子の増加分が分母の増加分を超えられない、
と市場が判断した結果、株価が下がるのだと考えています。
また、「市場は近視眼的だ」という別の原因もあると思います。

ただ、市場(=多くの投資家)がそのように考える中で、
自分は「分子の増加分の方が大きい」と考えるのであれば、
増資による株価の下落は、は投資のチャンスとも言えますね。
(今回のALサービスの増資に関しては、私はそうは考えられませんが・・・)
自分も ALサービスは増資とは一番無縁だと思っていただけに 寝耳に水でした。

少し前に優待新設、そして今回は市場変更と増配も合わせて発表していますよね。

設備投資や事業の拡大を理由に、昇格と増資を同時に発表するケースはセオリーだったりもするみたいですが...どうもスッキリしない印象が拭えないんです。

本当に必要だったのか?と

私的な勝手な想像でしたが...

てっきり優待新設→株式分割→東証1部昇格。と、くるのかと思っていました 苦笑

とにかく今、皆さん懸念してるのは需給悪化をまねくことのようですが...
Re: タイトルなし
カイトさん、こんにちは。

私も、次は株式分割だろうな・・・などと勝手に思っていました。
株式売り出しだけならまぁ、一部上場に向けて有り得る話だと思いますが、
まさか増資とは・・・という感じですね。

たぶん、今回の増資に関する質問やら批判が、
ALサービスのIR部門にたくさん届いている気がします(笑)

需給の方も、一ヶ月くらいは悪い状態が続きそうですね。
長期投資のつもりならその点はあまり気にする必要はないでしょうが、
株価が低迷したままだと、気分も冴えませんからね・・・。
No title
今回の増資は定期預金とか国債で運用されるんでしょうかねぇ。

増資が正当化されることがあるとしたら、PBR1倍割れの時に自社株買いすることくらいでしょうか。
Re: No title
AKIさん、こんばんは。

> 今回の増資は定期預金とか国債で運用されるんでしょうかねぇ。

もしそんなことであれば、さすがにもう私もこの企業を見切ると思います。
それなら自分で運用した方が100倍マシです。

発表資料によれば、一部をアークダイニングへの投融資資金に充てるようですが、
いよいよ「かつや」以外の店舗にも本腰を入れて取り組むのかもしれません。
今後の動向に注目しておきたいと思います。
No title
仰るとおり、出店ペースを上げなければ増資の理由がありませんね~。

ただ、不動産価格や人件費の上昇などの逆風も吹いていますから、会社の計画どおりの出店ができるのかどうかが気になります。
かと言って、無理な出店はして欲しくないですし。
Re: No title
そうですね。
いずれにせよ、今回の増資をきっかけに、
経営の大きな方向転換はして欲しくないな・・・という思いです。
No title
はじめまして。TUIFと申します。

ゆうゆーさんのこちらの記事ですが、私のブログからリンクさせていただいたので、ご報告します。

こちらの記事です。
エスクリは増資かDESをやったほうが株価上がるんじゃなかろうか
http://tuif.net/archives/1003880683.html

記事にも書きましたが、エスクリの場合、増資よりコミットメント型のライツイシューの方がいいかもしれませんね。。。
Re: No title
TUIFさん、はじめまして。

ブログでご紹介いただきまして、ありがとうございます。
恥ずかしながらライツイシューという増資方法を知りませんでしたので、
たった今調べてみました。

エスクリは既に一部上場ですので、株主数を増やす必要性も感じませんし、
既存株主の満足という意味では確かにこちらの方が良さそうですね。

まぁ、できればその前に自力でキャッシュを稼ぎ、
財務を改善していって欲しいんですけどね・・・(笑)

どのような方法であれ、財務が改善されれば株価は急激に伸びてくるのでは、
と私も思っています。
No title
この件についてエスクリのIRに電話してみたのですが、財務の改善は、利益の積み上げで行うとのことでした。

聞いた内容を記事にしてみたので、よかったらご覧ください~。

エスクリのIRに電話しました
http://tuif.net/archives/1004020996.html

良い会社だなぁというのが、率直な感想ですね。
Re: No title
TUIFさん、こんばんは。

IRへ問い合わせされたのですね。
素晴らしい記事のご紹介、どうもありがとうございます。

会社側の明確な論理があっての回答内容ですね。
この記事を読んでいると、エスクリを買い増したくなってきました。

会社側の「地道に利益を積み上げることで自己資本比率を上げてゆく」
という姿勢を私も応援し、長期保有していようと思います。
やはりこれが一番、株主たちが求めていることですからね。

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