素晴らしき成長株投資家と、ただの成長株投資家

こんにちは、ゆうゆーです。

当ブログをいつもお読みいただいている方ならご存知と思いますが、
相互リンクさせていただいているブログの一つに、
すぽさん投資ぶろぐ」という素晴らしいブログがあります。

すぽさんのブログの一つの売り(?)として、
「この銘柄について、すぽさんの見解はどうでしょうか?」
という読者の銘柄分析依頼をすぽさんが受け、
それをすぽさんが評価する、というものがあります。

分析結果は、分かりやすく1.0~5.0という点数がつけられており、
3.0以下は投資対象外、3.5でギリギリ投資可、4.0以上で魅力的な投資先
といったところだと思います。

すぽさんの銘柄分析力は、おそらく誰もが認めているところであり、
きっと多くの方がこの分析結果を参考にしているものと思います。
もちろん、私自身も大いに参考にさせていただいています。

・・・で、私が気になっているのは、
この分析結果で1.5とか2.0などの厳しい評価をつけられるような銘柄を、
「評価してください」と依頼される方が存在する、という事実です。

まず、多くの方がすぽさんの投資哲学を知っているせいか、
だいたいは高成長の高PER銘柄を、すぽさんのところに持ってきます。

このような銘柄で、1.5の評価をつけられるということは、
高成長株のように見えるだけで、本当は高成長株などではなく、
ただの高PER株の場合が多いのだと思います。
あるいは、超高PERというケースもあるかもしれません。
同じ高PERでも、PER25倍とPER50倍では大きく異なります。

もちろん、すぽさんとて100%正しい分析ができるとは限りませんが、
それでも1.5や2.0などという低い評価ということは、
おそらく私が見ても、AKIさんが見ても、まるのんさんが見ても、
大した評価にはならないのではないか? という気がします。
もちろんみんな成長株投資家ですので、成長株として評価した場合の話です。

私は以前、「PERを軽視し過ぎていないか?」という記事を書きました。
このブログの相互リンク先で、高成長・高PER株に投資される方としては、
すぽさんやWindさん(BM投資のススメ)が挙げられると思います。

私は、これらの優秀な投資家の方々に向けて先の記事を書いたわけではなく、
1.5や2.0の評価をされるような銘柄を分析依頼される方々に対して、
安易に高PERを正当化することの恐怖を分かっているのでしょうか?
と、警鐘を鳴らす意味で書かせていただきました。

「PERが20倍を超えていても買い向かう!」という信念を、
アベノミクス前から持っていた方が、いったいどれだけいたでしょうか?
アベノミクス前からこのような信念を持っている人がいたとしたら、それは本物だと思いますが・・・。

目をつけていた銘柄が、最近になって軒並みPER20倍を超えてきたので、
このPER水準で買うことをなんとか正当化できる理由を探すのに、
みんな一生懸命になっている。
そんな風に、私は思えてなりません。

そして、行き着く結論としては、
「優秀なブロガーが高PERの銘柄を買っているから、高PERでもOKなんだ!」
といったところでしょうか・・・。

どんな理由を考えたとしても、その銘柄のPERが上がれば上がるほど、
長期投資対象として危険になってゆくという事実は、変わりはしません。

あまりにも極端な例かもしれませんが、以前すぽさんのブログで、
「じげん」という銘柄の分析依頼がありました。
この企業のビジネスモデルがどんなものかは、私は知りませんでしたが、
まずそれ以前に、PBRは30倍超、PERは100倍超という超割高株価です。

常識で考えても、これが長期投資向きなはずがありません。
仮に順調に成長したとしても、株価は下がってゆく可能性が高いですね。
まして成長性が崩れたら・・・・・おそらく株価は、買値の10分の1以下です。

が、これを有望だと思って分析依頼を持ってくる方が実際にいたことは、
紛れもない事実なんです。
ちなみに、すぽさんの評価は1.5でした。そりゃそうでしょう・・・・・。

PER100倍でなくても、PER50倍でも危険であることは変わりません。
順調に成長した場合のリターンが「下落」から「横ばい」に、
成長性が崩れた場合の株価下落リスクが「10分の1」から「5分の1」に
変わるだけです。

一方、成長率は10%でも業績が安定していて、PER一桁の銘柄を選ぶ限り、
株価が半値以下になる可能性は極めて低いでしょう。
だからといって、高いリターンが期待できないわけでもありません。

今後5年間、20%の成長を見込んでいた銘柄が30%の成長を遂げることは、
そうそう有り得ることではありませんが、
10%成長を見込んでいた銘柄が、15%の成長を遂げることはよくありますし、
場合によっては、20%成長を達成することだって有り得ます。

10%成長しか見込まれていない銘柄(PER10倍)が20%成長を遂げた場合と、
20%成長を見込まれている銘柄(PER20倍)が20%成長を遂げた場合とでは、
リターンには大きな差が生まれてくるのです。
(もちろん、リスクはどちらが大きいかは論じるまでもありません)

少なくとも、高PERの銘柄への投資を考えておられる方々は、
本当にその企業が、その高PER(=高い期待)に応えられるだけの資質を
備えていると断言できるのか、いま一度考えてみるべきだと思います。

バフェット先生は、次のように考えているようです。

私は「素晴らしいビジネス」を「まずまずの価格」で買うことに
興味を持つようになった。
【ウォーレン・バフェット】


超成長派のすぽさんもWindさんも、単に成長率の高さだけではなく、
ビジネスモデルをとても大事にしています。
簡単に言えば、業績悪化のリスクが極めて低いであろう銘柄を見極めて、
投資しているということでしょう。

また、成長性と割安さをきちんと見比べることを怠っておらず、
べらぼうに高いPERを避けているところも、注目しておかなくてはなりません。

業績悪化リスクが極めて低い銘柄を見抜ける眼を持っているならば、
割安よりも成長を重視するのは悪くないし、理に適っていることですが、
そこまでの眼を持っている自信がないのであれば、
成長よりも割安を重視しておくべきだ、と私は考えますが、いかがでしょうか?

素晴らしき割安株投資家と、ただの割安株投資家の間には、
天と地ほどには差があるとは思いません。
ただ、素晴らしき成長株投資家と、ただの成長株投資家の間には、
天と地ほどの差がある
、と私は思います。

コメント

ゆうゆーさん お疲れさまです。

今回の記事も、とても勉強になる内容でした。

○○さんが推奨していたから、とか今後の高成長が期待できると言われているから、という理由だけで明らかに超割高な銘柄を買っているなら、それは自分自身でリスクを考えてないことになりますよね。

割高とか割安だとかに関わらず

企業に投資している理由を、どっかから引用してきて、本当は不安で自信のない自分への安心材料にしてはいけないな、と思いました。

その企業のビジネスモデルや成長ストーリー、業績などをしっかり自分で分析していって

なんで割高なのか?またなんで割安なのか?というところまでしっかりと理解することも大切なんですね。

自分自身が「本当の意味」で納得して(理解して)投資しているのか?もう1度、見つめ直してみたいと思います。





No title
株価=EPS×PER
なので、EPSもPERも上昇していくような銘柄を買うことを意識しています。

高PER銘柄はPERの上昇余力が少ない又はマイナスであることが多いので、私は買いたいとは思わないですね。

かつてのヤフーのように高PER銘柄でも上手くいくことがある銘柄もあるので、魅力を感じる投資家さんがいるんだと思います。
Re: タイトルなし
カイトさん、こんばんは。

そうなんですよね。
素晴らしい会社を見抜く力を身につけることはもちろん大切なことですが、
それだけでは不十分だと思うんです。
株価と企業価値を見比べ、投資パフォーマンスとしてのリスクとリターンを、
合理的な根拠に基づいて、はじき出しておく必要があると思います。

そこまで説明できて、初めて自分の投資を理解していると言えるんですね。

株式投資が、単によい企業を選ぶだけのゲームであるならば、
そりゃあ私だって、もっとPERの高い株にもジャンジャン手を出しますね。
Re: No title
AKIさん、こんばんは。

私もAKIさんに近い考え方です。
また、おっしゃるようにかつてのヤフーという例がありますから、
高PERの高成長株への投資も、素晴らしいものになる可能性はありますね。

ですが、ヤフーという銘柄をその成長前に選んでいた投資家というのは、
企業を見る眼に長けていた、ほんの一握りの投資家だけでしょう。
後になって「あの頃ヤフー株を買っていたら○倍になっていた」と言うのは、
簡単なんですけどね(笑)
No title
ゆうゆーさん、こんばんは。

今回の記事も毎度のことながら、
改めて自分のスタンスを確認するよい記事だなと思いました。

確かに全体の株価が底上げされてきている中で、
かつてはPER10倍割れ(せいぜいPER10倍前半)までしか見ていなかったのが、
最近ではPER20倍程度超でも目に留めるようになっています。

かつては、明らかに成長性より割安度を重視していたためとはいえ、
では成長性を評価したのだから、
PER20倍でもいいんだという短絡的な考えではなく、
本当にその成長性に自信があるのか、
成長率とPERの関係が妥当かどうか
よく吟味をすることが非常に重要だと思います。

私はまだ成長株投資家とまで言い切れない
迷走中のスタンスではありますが(笑)、
少なくてもある銘柄を保有する際に、
成長性に魅力を感じて投資をしているという認識を持ち、
その成長率と株価水準が自分の腑に落ちているか、
他人の動向に惑わされる事なく判断できるようにしていきたいと思います。

ちなみに低PER(PER10倍)で成長性が相対的に低い(10%程度)の銘柄も、
ポートフォリオには少しは入れておきたいと思っている点が、
まだ迷走中の私のスタンスです。
記事にもある通り、成長率が15%位になった時にそれなりのリターンも期待できる一方で、
ロスは限定的となる点も魅力です。

双方の種類の銘柄を織り交ぜていくことで、
全体として少しは安心できるような「気」がするのですが、
この部分はどこかで折り合いを付ける必要があるとも思っています。

ゆうゆーさんの警鐘に改めて感謝すると共に、
このように考えるきっかけを頂ける点、本当に感謝しております。
ご紹介ありがとうございました
ゆうゆーさん

HPのご紹介ありがとうございました。ゆうゆーさんのHP、私も毎日楽しみに見ています。ここまでコメントされているみなさんが相互リンクされている方ばかりでしたので、少し気楽にコメントさせていただきます。

PER10中心の投資と、PER20中心の投資のどちらが良いかは深いテーマですよね。私もどちらが良いかについては完全に結論が出ている訳ではありませんが、バフェットさんとほぼ同じ考え方でPER20を中心とした投資を選択しています。

PER20の投資方法にシフトしてみて、ちょっといいなと感じているのは、企業を見極める能力という点で、より鍛えられる点です。(もちろんそんなことを考えてシフトした訳ではありませんが)
失敗も多いですが、その分学びが多いと感じています。

少し話は逸れますが、ゆうゆーさんのハピネットや、AKIさんのペッパーフードの成功を見て、「急成長イベントを織り込んでいない銘柄」に対する投資について考えを巡らせています。少し考えがまとまったら記事にしたいなと思っています。
勉強になります
自分は基本が割安株投資家なので、スクリーリングの時点でPER15倍以上をバッサリとカットし、投資先も基本はPER10倍以下の銘柄に限定していたのですが、この記事を見て、もう少し成長株にも目を向けないとなぁ……と痛感した次第です。

今はちょうどポートフォリオの組み直しの最中なので、1銘柄ぐらいはそういった銘柄(PER15~20倍程度の成長株)を入れて勉強をしてみようかと思います。
Re: No title
まるのんさん、こんにちは。

成長重視にするかか割安重視にするかは、なかなか難しい問題ですし、
そもそもどちらが正しい、なんてことはないのかもしれませんね。

まるのんさんの「両方織り交ぜる」という考え方は、
分からないものは分散する、という意味でも正しいと思います。

私なりに何となく分かってきた答えは、
「企業の成長に対してそこまでの自信がなければ割安重視としておき、
自信が深まるにつれ、成長重視にシフトしてゆく」と言う考え方が、
理に適っているのではないか、ということです。
(割安重視だとしても、一定以上の自信は必要ではありますが・・・)

バフェットを筆頭に、優秀な投資家たちでも、
最初は割安重視から入り、徐々に成長重視に移っていった方が多いことも、
その辺りが関係しているのかもしれませんね。

投資の初心者がいきなり成長重視から入るのはかなり怖いことであり、
そういう意図を持って、この記事を書いた次第です。

こちらこそ、こうやって内容の濃いコメントをいただき、
いろいろな意見を聞かせていただけることに、感謝しております。
Re: ご紹介ありがとうございました
すぽさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

PER20倍でも買おうと思えば、かなりシビアな目で企業を見る必要があり、
それが企業分析力の向上に一役買っているというわけですね。

私はPER10倍の方を選んでしまいますが、これは裏を返せば、
PER20倍でも買えるほどの(企業に対する)大きな自信を持てていない、
ということなのかもしれません。

今後の課題として、高い成長に大きな自信が持てる銘柄を見つけた時は、
PER20倍程度であってもポートフォリオの一部に組み込んでみれば、
新たな発見があるかもしれませんし、実際そうしたいとも考えています。

急成長イベント投資については、投資スパンこそ異なるものの、
成長株長期投資とそれほど性質は変わらないのかな、という気もします。
「明らかに上がるしかない」と言える材料があり、
市場がそれを織り込んでいなければ、やはり買いで間違いないですね。

また、すぽさんのブログも楽しみにしています。
Re: 勉強になります
Visionさん、こんにちは。

Visionさんは確かに、割安重視の投資スタイルですよね。
「成長重視」「割安重視」「混合型」など、いろいろな投資家がいる中で、
みなさんそれぞれ素晴らしい投資成績を収められているのが、
とても興味深く感じています。

割安重視であれ成長重視であれ、成功している投資家に共通していることは、
信念に基づいた自分の「型」を持っていることに加え、
貪欲に学ぼうとする姿勢を忘れていないことですね。

私もこの記事を書いたり、みなさまのコメントを読ませていただくうちに、
PER20倍の高成長株を一つくらい、PFに入れてみたくなりました(笑)

今後ともよろしくお願いします。
No title
本文と関係ないけどトレファクすごいですね
おめでとうございます
Re: No title
名無しさん、こんにちは。

トレファクは最近、絶好調ですね。
ただ、悲しいかなトレファクは今日の昼ごろに売ってしまいましたので、
今日の上昇の半分ちょっとしか取れていません(笑)
売却理由も含めて、詳しくは週間成績発表で振り返りたいと思います。
こんばんは。
ご紹介いただき光栄です、ありがとうございます。

どこまでを成長株として許容するか、というのは成長株投資家にとって最大のテーマであると思います。

こればかりは答えがあるわけではありませんので、おそらく私もゆうゆーさんもこのスタイルを取る限りは試行錯誤しながらやっていくことになるのでしょうが、それがまた成長株投資の楽しさでもありますね。

これからもゆうゆーさんの記事を楽しみにしています。
Re: こんばんは。
Windさん、こんにちは。

そうですね、私もこれから経験を積んでゆく中で、
成長株についての考え方が変わってゆく可能性は十分にあると思います。

昨日、15%成長想定のトレファクをPER20倍で売りましたが、
このあたりの判断もさまざまで、むしろ買いだという人もいるでしょう。
これだ! という答えはなかなか見つかりませんが、
今後も試行錯誤して、よりよい投資基準を創ってゆきたいですね。

Windさんの記事も、いつも楽しみにしています。
今後ともよろしくお願いします。
No title
ゆうゆーさんはじめまして。ブログみて勉強させていただいています。

じげんは注目はしていましたがさすがに高く、今年からようやく参戦。
私もPER20倍超えると滅多に買うことないんですが、公募から10年程度で数百倍の株価に成長したヤフーのような大成功を得るにはリスクを取ることも必要かと思います(PFの一部)。確かヤフーの場合も公募でPER60倍程度、初値でPER160倍程度でしたが公募組も初値組も10年保有で株価100倍を達成。素晴らしき成長株かと。

じげんの平尾社長は時価総額1兆円を目指しています。事業の可能性と社長の才能(孫さんに匹敵?)に賭け、10年後の1兆円企業到達を期待しています。
Re: No title
そーせい候さん、こんにちは。

とても夢のある投資ですね。じげんはこの記事を書いた時に異常な株価水準に恐れをなして以来、深く調べる気にならなかった記憶があります。

この頃から比べれば、「株価下落」と「企業成長」のダブル効果でだいぶ常識的な水準になってきましたね。今でもまだ高くは感じますが、ヤフー並の自信があるなら今の水準なら有りかもしれません。

今後も1000社に2~3社くらいは、ヤフーのような超成長を遂げる会社が出てくると思います。じげんがそれに当たるかは私には知る由もありませんが、もしも当たれば拍手喝采ですね。自分もそろそろ突っ込んで調べてみようかな・・・(笑)
No title
ゆうゆーさん返信ありがとうございます。
じげん上場時の過熱感はひどかったですよね。あの時に投資してたらたぶんそれは投機だったと思います。上場後、IRなど情報の充実と業績の変化を見て改めて投資対象にしました(PFの8%程度ですが)。

最近、創業社長に注目しています。日本電産の永守社長はじめ創業社長は超長期政権となるため、その卓越した経営手腕や才能が長期の業績や株価に大きく影響すると考えるからです。特にM&Aを多用する企業は経営者の素質が気になります。じげんの平尾社長、そーせいの田村社長に続く有能な社長に巡り合うため、株主総会や懇親会への出席や社長インタビューの記事、動画探しを頑張ります。
Re: No title
そーせい候さん、こんにちは。

経営者の手腕に着目した投資手法ですね。面白いと思います。

創業者は、二代目以降の経営者とはかなり違うことが多いでしょうね。自分もそうですが、今経営者だという人でも自分でリスクを負って創業してまで経営者になっていたかと言われると、さすがに首を傾げる人は多いと思います。
創業者というのはそれだけでバイタリティ溢れる人間で、信念を持っているということが分かりますよね。

すぽさんなどは経営者よりもビジネスモデルを重視していますが、そーせい候さんはむしろ卓越した経営者を探し求めているということで、同じ成長株投資でもいろんな切り口があるんだなぁと改めて感じています。

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