銘柄分析[2652 まんだらけ]

こんにちは、ゆうゆーです。

たまには銘柄分析をしておかないと、分析力が鈍ってしまう・・・ということで、このブログでは保有していない銘柄なのですが、ブログ外での保有銘柄の一つ、まんだらけを分析しておきたいと思います。

まんだらけは、「マンガ専門古書店の最大手」と四季報には載っていますが、実際にはマンガはその一部に過ぎず、玩具などの中古品も販売しています。
また、明らかにオタク向けの商品ばかりを扱っており、平たく言えば、まんだらけは「オタクショップ」を展開する会社です。

では、「私の投資方針と投資手法」に従って分析してゆきます。



ステップ1:『今後安定して成長すると思われる企業』であるか?
A.成長ストーリーは存在するか?
エリア拡大型」の成長ストーリーを持っています。
ここ数年は、新規出店よりも既存店舗の移転・拡充に力を入れています。ショップの出店や移転・拡充に伴い、売上や利益も拡大してきています。

また、長期に渡って利益率の大幅改善も進んでいることから「認知度向上型」の成長ストーリーも併せ持っているものと思われ、新規出店(移転・拡充)→ 認知度向上 のサイクルを繰り返すことで、長期安定成長を遂げていると言えそうです。

また、最近になってネット販売にも力を入れ始めており、これも今後の成長のエンジンになってくれるかもしれませんね。

以下は、過去7年間の売上高、営業利益の推移です。

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B.成長ストーリー崩れの三大要因に対し、耐性を持っているか?
1.成長限界に対して
まんだらけは現在、全国に11店舗あります。
これが飽和状態なのどうか、オタク市場規模など誰も調査していませんのであくまで感覚的な話になりますが、今の数で全国のオタクの欲求が満たされているとは私は思いませんので、出店余地あるいは店舗拡充の余地はまだまだあると判断します。

2.景気悪化に対して
一般人であれば、不況になったらまずはぜいたく品を削ると思いますが、まんだらけはもともとオタクと呼ばれる方々しか相手にしていません。

彼らにとっては、ここのフィギュアはぜいたく品ではなく必需品であり、不況になったからといって生きがいを捨てるわけにはゆきません。食費を削ってでも、ここの商品は買われるのではないでしょうか。

リーマンショックでもそれほど業績を落としていないようですし、不況耐性はそれなりに高いと判断します。

3.他社との競争激化に対して
まんだらけはただの中古屋ではなく、オタクの聖地のようなお店です。
豊富な品揃え、マニアックな商品知識、そしてそれらを値付け・鑑定する眼、これら全てが当社の大きな競争優位性となっており、これらの点でまんだらけを超える店舗は将来に渡り出てこないでしょう。

四季報にも「独自の値付け・鑑定で市場影響力大」と出ており、現状、まんだらけが完全にオタク市場を握っていると考えられます。街の小さなオタク屋も、まんだらけに進出されればひとたまりもないですね。

C.もしも成長が失敗に終わった場合のリスクはどの程度か?
自己資本比率は40%で、財務体質は可もなく不可もなくといったところです。
営業利益率も年々伸びてきており、10%を超えました。いい傾向ですね。
キャッシュ・フローにも気になる点は見られません。
あとは、四半期ごとの利益のバラつきが大きいのが少し気になる程度です。

ただ、この会社には業績以外の面でさまざまな懸念材料があります。

配当性向が異常に低く、それを増やそうという雰囲気も全く感じられないこと、IRページが極めて不親切なことなど、株主軽視の姿勢が随所に感じられます。
また、過去には賃金未払いの問題なんかも起こしていたりします。

また、商品の中にはグレーゾーンと呼ばれるものも含まれているようで、そのあたりの法規制が今後どうなるのかも少し気になるところです。

何かと「訳あり」な会社であるという印象は拭えませんので、総合的に見てリスクは「よく分からない」と判断します。

ステップ2:『割安な価格』であるか?
まずは、PERの適正水準を決めます。
過去の実績およびROE水準から、成長率を15%と想定しますので、仮のPER適正水準は12.0倍~18.0倍となりますが、リスクが読めないことを鑑みて、超安全に適正水準を30%引きで考えます。
(分からないものは、悪く見積もらざるを得ないということで)

従って、この銘柄のPER適正水準は、8.4倍~12.6倍 となります。

現在の、この銘柄のゆうゆー予想PERは5.2倍と想定していますので、相当にもって割安だと判断できます。



普通の成長株なら、今のこの良好な相場環境でPER5倍は有り得ないですね。おそらく市場も業績以外の面で、当社には低評価を下しているのでしょう。
さまざまな「訳あり」な部分を除けば、株価は今の3倍、PER15倍を超えていても何ら違和感は感じません。

投資先としての期待値で考えた時、まんだらけの今の超低PERは多大なリスクを受け入れても余りある魅力的な水準だ、と判断しています。

流動性も異常に低く、相当な忍耐力のいる投資先になると思いますが、素晴らしいビジネス、また長期に渡る成長力は間違いなく本物だと見ました。
ブログ外で忍耐強く保有していようと思います。

一単元の株価が高いので、ブログの運用銘柄には組み入れにくいのですが、もし今後大幅に下がってくれば組み入れも検討したいと思います。

注  記
当記事の内容はこれを書いた時点での私の見通しであり、現時点での見通しは変わっている可能性がありますので、ご注意ください。

コメント

エスクリ決算そろそろですね。一枚しかもってないから買い増ししたいけど決算後考えます。
今回は一オタクとしての意見を…(笑
個人的には、結構、大阪のまんだらけにお世話になっています←

新品の商品や人気の商品では、メロンブックスやとらのあな、アニメイトといったような、オタク御用達のショップが強いのですが、中古の商品やニッチな商品となると思い浮かぶのが、まんだらけ(店頭販売+通販)、駿河屋(通販専門)、の2ショップぐらいなので、ライバルも少ないし、ビジネスモデルとしては強いかな~と思います。

ただ、通販となると、まんだらけより駿河屋の方が基本的に品ぞろえが良いですし、オタクショップ業界全体で見ても、まんだらけは通販に関しては少し勝手が悪いように思います。
今後は、その点の改善が課題ですかね。
(自分は通販で中古の品を買う際は、大体駿河屋ですね。たまに、まんだらけを通販を覗くと、意外な掘り出し物があったりするので侮れないのですが…)

ただ、オタク向け商品の中古品を店頭販売をしているショップの中では、まんだらけが別格に強いので、店舗数を増やせば、結構な収益を見込めるかと思っています。

あと、出店余地は確実にあると思います。
少なくとも、岐阜在住のオタクである自分の欲求は満たされていないです←
岐阜にできたら、多分、自分は年数万ぐらいは使うかもしれません(笑

以上、一オタクとしての意見でした……(笑
Re: タイトルなし
ハラハラさん、こんばんは。
記事の内容にも少しは触れていただけるとうれしいです。
一応、気合い入れて書きましたので・・・。
Re: 今回は一オタクとしての意見を…(笑
Visionさん、こんばんは。

貴重な貴重なご意見、どうもありがとうございます。
いやー非常に参考になりましたよ!
しかし、めちゃくちゃ詳しいですね(笑)
そういえば、Visionさんのブログのプロフィールのところに、
オタク要素ありと書いてあったことを思い出しました。

まんだらけはむしろ、私よりVisionさん向け銘柄ではないかと思いました。
バリュー株ですしね。
商品を詳しく知っていることの強みを見せつけられました・・・。

まんだらけの強みは店頭販売ということですね。
正直、こういうビジネスはそうは崩れないでしょうね。
どちらかというと、国の規制とかそっちの方が怖い気がします。

改めて参考になるご意見、ありがとうございました。
倉庫が出来れば
来年完成予定の倉庫ができれば、現在大きな需要があるのに捌ききれていない海外からの注文に対応できるようになり、再来年あたりから売上が急激に伸びると考えています。
http://www.mandarake.co.jp/company/recruit/em_sahra.html
倉庫が出来るまではそちらに投資するので配当を増やす気は無いと、昨年の株主総会で社長が言ってました。
東証2部、1部上場も目指していて、そこまでやり切ったら社長は引退するそうです。
懸念材料は人材。募集してもなかなか優秀な人が集まらないようです。

まだ上昇まで2〜3年かかりそうですが、少しずつNISA枠も使いつつ買い増し中。
No title
まんだらけがバリュー株という評価を受けるのは良い意味で違和感がありますね。
隔世の感です。

業績見込や利益率は今が最も光り輝いている時期になる可能性もありますし、
PBRなんてあってないようなもんです。
というか、まんだらけがPBR1倍はかなり高いイメージがあります。逆に言えば、それだけ財務基盤が磐石になって評価が高まった、という事でもありますね。

まんだらけのファンダメンタル分析は難しいです。よく分からないので手控えられる傾向にあったのではないかと思います。
いっそのこと表面的な分析しかしないで眼を瞑って買った方が良いかも知れませんね。
急騰→伸び悩み、の繰り返しですから、噴き値待ちというスタンスが良いのかも知れません。



昔は1株100万円くらいした時期がありました。任天堂と同じく、公休銘柄。僕みたいな貧乏人には買えない銘柄でした。懐かしいです。
Re: 倉庫が出来れば
ザンベンドルフさん、はじめまして。

昨年の株主総会に出席されたのですね。
これまた貴重な情報、どうもありがとうございます。

おっしゃるとおり、数年後に海外展開がうまく軌道に乗るようならば、
相当な成長余地となりそうですね。
配当政策も含め、もう少しIRサイトで積極的に公表するようにすれば、
おそらく今のような株価にはなっていないのでしょうが・・・。

人材確保は、豊富な商品知識と目利き力が必要な業態ですから難しいですね。
ただ一方で、それが参入障壁にもなっており、
バフェットの言う「堀」を持っていることの裏返しでもあると思います。
Re: No title
MEANINGさん、こんにちは。

MEANINGさんは「バリュー株」の定義を大切にされますから、
安易に使えないですね・・・(汗)
私の場合、成長株であってもPERが低ければバリュー株(収益バリュー株)
と呼んでいます。
MEANINGさんとは定義が違うかもです。

まんだらけのファンダメンタル分析、確かに難しいかもしれませんが、
多少の見方の違いなど全て隠してしまうくらい、割安に見えます。
少なくとも、私の分析では超割安と出ました(笑)

「急騰→伸び悩み、の繰り返し」はまぁ、過去のことですから、
今後もそうなるかは・・・どうでしょうか?
いずれにせよ、自分の売り基準に達すればその時点で売るのみですね。
No title
ゆうゆーさん

お返事どうもありがとうございます。

僕はバリュー株という言葉を使って遊んでいるだけですので、どうかお気になさらないで下さい(笑)。

僕はまんだらけに限らず、特定の銘柄についてバリュー株かどうか判断できないんです。
バリュー株かどうかはバリュー投資家さんが決めることであって、僕には分からない。サッパリ分からない。
ただ、バリュー投資家さんは今までまんだらけをバリュー株だと判断してないだろうなぁ、といった感じがしてました。なので、隔世の感という表現を使っただけで、それ以上でもそれ以下でもないんです。


まんだらけはバランスシートの大半を占める在庫・商品の価値の変動が業績に与える影響が大きいですね。
まんだらけの業績は長期的には水物です。価値が上がれば業績は向上し、価値が下がれば業績は下落する。
この価値の変動を見極める能力と、在庫調整能力が問われるわけですな。
なんでもかんでも買い集めると、価値のないバランスシートの肥大化になります。まんだらけの将来は価値のある在庫の叩き買いができるかどうかにかかっています。過去に失敗してるんですね。特損で下方修正。同じ過ちを繰り返さずに、業績を拡大、在庫の増加をすることができるかどうか。目利きのノウハウは蓄積されますが、売上増加スピードがノウハウの蓄積を超えたときは、リスクが大きくなります。
リスクが何か、どのようなリスクが高くなっているか、それらをバランスシートから読み解く。まずは商品評価額の推移と売上の推移のバランスですかね。現金預金は増加傾向にあって、良い感じです。大型設備投資をするなら要注意。設備投資に伴う商品の急増は、リスクを高めます。

なんて、釈迦に説法ですね。すいません。
こりゃまたタイムリーな・・
こんばんは。

以前より興味深く拝見させていただいておりましたがコメントは初めてです。

奇遇ですが私は7/28の寄付でマンダラケ買いました。フィスコを買うかマンダラケか迷ったんですけどね・・・。

分析、興味深く読ませていただきました。とても詳細に分析していて、感情的な部分や希望的観測もなく感心いたしました。

私としてはやはり競争力の強さが買いの決め手でした。それぞれのジャンルに目利きのできるマスターがおり、一朝一夕で同レベルのスタッフを育成するのは難しいと思います。

また売上高利益率も2009年に1%台だったのが6~7%になってます。 通常の小売業であれば売上高利益率を上げるのは難しいのですが、唯一の大手ゆえ、「独自の値付け・鑑定で市場影響力大」を強く感じます。  

今後の成長はやはり海外出店ですかね。以前の海外店舗は全て閉店していますが、やはり大きな成長には欠かせないでしょう。

配当については私個人としては無配でもいいくらいです(笑)
税金が無駄だからです。 法人税のあとに個人株主の配当からも税金をとるのはどう考えても2重課税でしょう。

長期投資家としては内部留保して成長に回してもらう方がいいと考えてます。

ゆうゆーさんと他に被ってる銘柄はエスクリです。今度はそちらでもコメントさせていただきますね。
Re: No title
MEANINGさん

こちらこそ、参考になるご意見をありがとうございます。
おっしゃる通り、ここの経営には目利き力が大きく問われますね。

ただ、今のまんだらけはそのノウハウを持っていると私は判断しており、
バランスシートには載らない大きな強みになっていると思います。
もちろん、一時的には商品価値を見誤ることはあるかもしれませんが・・・。

というわけで、まんだらけの業績については、
長期的には水物というよりも短期的には水物だと、私は思っています。
1年、2年のスパンでは山あり谷ありでも、5年というスパンで見れば、
おそらく右肩上がりになっているものと思い、保有しています。

今年の利益がどうなるかなどは、正直言って予想がつきませんが、
将来に渡りこの会社は必ず、オタク市場をリードしてゆけると思っています。

要は、「細かいことはあまり考えていない」ということです(笑)
Re: こりゃまたタイムリーな・・
けんけんさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。

まんだらけを一昨日買われましたか、それはタイムリーでしたね。
指標的にも非常に割安に感じますが、ここはただ安いだけではなく、
大きな競争力を持っているという点が魅力的ですよね。

売上はゆっくり着実に伸び、利益率は年毎にバラつきは有りながらも、
長期的にはどんどん改善されてきており、
今のまんだらけは、もはや昔のまんだらけではないでしょう。

配当は無配でもいいですね。
むしろ、中途半端に出すくらいなら無配の方がいいと私も思います。
また、こんな低配当にしている理由をIR資料などで明示さえしてくれれば、
多くの株主はきっと満足してくれることでしょう。

今後ともよろしくお願いします。

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