四半期決算分析(フジ・コーポレーション H27.1Q)

こんにちは、ゆうゆーです。

ファンダメンタルズ投資を志している以上、最低でも四半期決算くらいは毎回目を通しておく必要があると思います。
今回は、私の(保有銘柄の)四半期決算の見方について、先日発表されたフジコーポの1Q決算を例に、ご紹介しておきたいと思います。

まずは、ドキドキしながら決算短信を開いてみましょう。
そして一ページ目の上半分を見れば、もう仕事の半分は終わりです(笑)

今回のフジコーポの決算短信は、こんな感じでした。

314.png
(フジ・コーポレーション決算短信より)

売上高、営業利益、経常利益、純利益、1株あたり純利益の伸び率とその印象をそれぞれまとめてみました。

売上高   : 9.8%増 → 満足
営業利益  : 7.1%増 → 不満
経常利益  : 10.5%増 → やや不満
純利益   : 16.0%増 → 満足
1株純利益 : 16.0%増 → 満足


とまぁ、どう捉えてよいのか分からない内容でありました。

ちなみに、この全てが「満足」という印象だったとしたら、私はもうそれ以上突っ込んで分析することはあまりしないのですが、今回の場合は営業利益で「不満」という印象になっています。

営業利益といえば、本業での利益を表す数字でありますから、純利益では満足できる数字に収まっていると言えど、ここは軽視できません。

これが逆(営業利益が良くて、純利益が悪い)だった方がまだ印象的には良かったのですが・・・。
ちなみにこれが逆であるのが、ここ数年のミサワとか日本BS放送の決算ですね。

さて、今回の営業利益があまり伸びなかった原因は調べておく必要があります。
こういう部分は、スルーしてはいけない部分だと思っています。

で、もう少し詳しく見てゆくために、後の方に掲載されている損益計算書を開いてみましょう。

315.png
(フジ・コーポレーション決算短信より)

上記は営業利益までの抜粋ですが、これだけでも決算短信の一ページ目では分からなかった、売上総利益や販売管理費などのもう少し細かい数字を見ることができます。

で、売上高から営業利益までの各項目をまとめてみると、こんな感じです。

売上高   : 9.8%増
売上原価  : 9.5%増
売上総利益 : 10.6%増
販売管理費 : 13.6%増
営業利益  : 7.1%増


これにより、当初の自分の見立てと何がどう違ったかが見えてきます。
まず、私はもう少し原価の伸びが抑えられ、総利益が伸びると思っていました。それは、タイヤの主原料であるゴムの価格が、昨今の原油安の影響で低く抑えられているはずだと思ったからです。

ただ、円安進行による輸入価格の上昇がそれを打ち消しているであろうことや、また、原材料価格の動向を素直に商品価格に転嫁するという販売方針により、実は原油安のメリットはあまり無かったのかもしれません。
月次を見ても、商品単価が下がっていることは顕著に表れていますしね。
ただそうなると、前期4Qの総利益率の大幅な良化は何だったのか、と不思議にも思えてきますが・・・。

316.png
(フジ・コーポレーション月次資料より。不要な部分をカットし加工しています)

ここからは想像ですが、商品単価が下がれば普通は客数が増えるでしょうから、一商品あたりの利幅が同じであれば儲けは増えるはずです。

つまり今回は、商品単価が下がっているのに客数はあまり増えなかった、と見ることができると思います。
では、なぜ客数は増えなかったのでしょうか?
私なりに考えたこの理由は、増やすことが物理的にできなかったのではないか?と見ています。

分かりやすく言えば「欲しい人はまだたくさんいるのに生産や物流が追い付かず、品切れになってしまった」というような状態ですね。

思い返せば、12月の大雪の頃は(おそらく倉庫のスペックオーバーにより)、販売機会を損失していたような兆候がありました。


以上のように考えれば、パズルのピースが何となくかみ合ってくるのです。

原材料安は素直に商品価格に転嫁され、客数も増えようがないということでは、そりゃあ営業利益が思ったほど伸びないのも納得ですよね。

しかし、もしも私の想定が概ね正しかったとするならば、8月に新ロジスティクスができてからは販売機会損失は無くなるので、次の冬季は今期伸びなかった分まで巻き込んで大いに期待できるはずです。
iwyさんの株主総会レポートを読めば、益々そんな気がしてきます。

株価の方は早速、期待値に届かなかった今回の決算を嫌気してか、大きく下がってしまっているようですが、私は一年後に期待しつつ、引き続きホールドしてゆきたいと思います。

今はとにかく、忍耐、忍耐、そして忍耐・・・ です。


まぁこんな感じで、出てきた決算書そのものや月次売上レポート等の数字、また企業側のコメント(株主総会での発言や決算説明資料など)や自分の想像力などを総動員し、その企業の置かれている状況を把握することが、その企業の未来の業績を知ることにつながるのかな、と思っています。

こうやって文章で書くと、パッと見では難しく見えてしまうかもしれませんが、やっている分析そのものはいたってシンプルなものですからね。


ツイッターでもフォローさせていただいているダル♪さんのツイートですが、私も同じように思っており、これが私の志すファンダメンタル投資です。

コメント

フジコーポ株価低迷していたので売って今日買い戻したけど、早すぎたかな。短期的にはまだ下がりそう。
Re: タイトルなし
ラビオリさん、こんばんは。

私は、短期的にまだ下がりそうかどうかを判断する技量がありませんので、
とにかく「買い戻せないリスク」をゼロに抑えるため、ホールドし続けます。
こういう記事
ゆうゆーさん、こんばんわ。
こういう分析記事はやっぱ面白いですね。
フジコーポ持ってて利益は出てますけど、最近の下げでちょい減り気味です。
決算そう悪くないと思いつつ、気になってました。

個人的に気に入っている銘柄でもあるし、伸びしろもまだまだあります。
逆にもし関西中国地方まで出てきたら再度考えるかなぁ、と思ってます。
あんまり雪降らない地域だとスタッドレスタイヤの需要も少ないし、出店効率が下がると思ってますので。

キャッシュの欲しい今日この頃です(笑)
Re: こういう記事
すりぃさん、こんにちは。

たまには分析記事も書かないと、何のブログか分からなくなりますからね(笑)
しかしフジコーポはよく下がりますね・・・。
直近の業績に一喜一憂している市場の姿がよく分かります。

確かに、あまり雪の降らない地域への出店は効果が薄いというのは、
スタッドレスタイヤが主力商品という性質上、その通りかもしれませんね。
ただ、多く雪の降る地域はそもそも人口が少ないこともあり、
どっちが効果が高いのかよく分かりません。
人口が少ない雪国の方が土地代が安い分、費用対効果は高いのでしょうかね。

また、通販も今後の新たなエンジンになってくれることを期待しています。
No title
老婆心ながら一つだけお節介を。

妄想する場合は、銘柄を色眼鏡で見てはいけません。

淡々と、何の感情もなく、ただ淡々と、坦々と、八卦予想をしている自分を見つめながら数字の裏側の背景とその影響を皮算用するのを意識しないといけません。

感情が入り込むと違う道に迷い込んでしまいます。

違う道に迷い込んだ人を数え切れないくらい知っていますので、外野からやんややんや言っておきます。
Re: No title
MEANINGさん、こんばんは。

内容については、おっしゃる通りだと思いますし反論はありません。
では、私からも一つだけお節介を。

MEANINGさんのコメントは、なぜかいつも読んでいて不快な気分になります。
これは内容の問題ではなく、書き方の問題です。
MEANINGさんのこれは、一度や二度のことではありませんので、
この際ハッキリ言わせていただきます。

他人のブログにコメントする側の最低限のマナーとして、
読み手が不快にならないような書き方を心掛けるべきだと思います。
月次の見方
ちょうどフジコーポの短信と月次を見てどう解釈したら良いか勉強しようと思っていたのでタイムリーな記事で嬉しいです。
ところで月次の4ヶ月合計の数字はどこ由来でしょう?4ヶ月足してもあの数字にはなりませんし。素人な質問ですみません。
関西なら滋賀が雪の具合も土地単価も良さそうですね^_^
本題とはずれますが、オーバースペックを逆の意味で使っていませんか?
失念といえば
失念といえば失念でした。
人口。

自分が住んでいるところは暖かいので、年に数度も雪が降りません。
積もりませんし。
なので平野部でスタッドレスは皆無です。

それでも山間部などはスタッドレスはかせている所はありますね。
その人口比がフジコーポが主として展開している地域より多ければ、確かに問題ないかも。
うーん、ストーリー作りは一筋縄ではいきませんね(笑)
Re: 月次の見方
マツさん、こんにちは。

月次の表は、会社の月次資料をそのままコピーしたものです。
4ヶ月合計の数字が、各月の数字を平均したものと異なっているのは、
各月の売上の大きさそのものが異なっているからだと思います。

例えば、1月が+10%、2月が+20%だからといって、
この2ヶ月の平均が+15%になるとは限りません。
仮に1月が1000万円→1100万円、2月が100万円→120万円 だった場合、
2ヶ月の平均は+11%になりますよね。
これは極端な例ですが、理屈はおそらくこういうことだと思います。

オーバースペックはおっしゃる通り、逆の意味で使っていました(笑)
スペックオーバーと書くべきでしたね。
本文は訂正させていただきました。ご指摘ありがとうございます。
Re: 失念といえば
すりぃさん、こんにちは。

あと私が思ったのは、自分の住んでる地元は雪が降らないからといって、
スタッドレスをはかせないとは限らないかもしれない、ということです。
まぁ、想像なのでどこまで正しいかは分かりませんが・・・。

地元は降らなくても、スキーやスノボに出かける時は必須ですよね。
あとは、雪国への帰省とかもありそうです。
要は、雪の降らない都会部でも、雪国へ出かける人口の絶対数が多ければ、
それなりには貢献してくれるのかな、と思います。

ただ、それも常識的に考える必要はありますね。
さすがに九州南部とか、沖縄で需要があるとは思えませんし(笑)
この辺も考えながら、成長限界を見極めたいところですね。
質問への回答ありがとうございます。そもそも数字の意味を理解しておりませんでした。確かに売上高などではなく前年同月比ならば単純な平均にはならないですね。
お忙しいのにありがとうございました!
Re: タイトルなし
マツさん、こんばんは。

どういたしまして。
今後ともよろしくお願いします。
No title
ゆうゆーさん

不思議なことに、僕はゆうゆーさんを不快にさせるどころか間逆の意図を持って文章を書いています。

ゆうゆーさんの言わんとしている事も分かりますので、今まで以上にこれからは注意します。

僕は付かず離れず、こんなスタンスでずっといろんな人と文章のやりとりをやってきたので、ちょっと慣れるまで時間がかかるかもしれません。

暴落相場が来たら労わり、暴騰相場のうちはちょくちょくお節介を焼く、というのがむしろ投資家にとっては親切なのだとも思いますが、趣味でやってるブログのコメントで相手を不快な気分にさせるのは不本意ですからね。
Re: No title
MEANINGさん、こんばんは。

ハッキリ言いますが、MEANINGさんのお節介は私には一切必要ありません。
毎回不快な気分になるだけで、何も得られるものはありませんので。

こんな話をするだけ時間の無駄ですので、ここまでにさせていただきます。
No title
ゆうゆーさん、こんばんは。
2Q期間中にどれくらい株価が戻るかも重要ですね。
2Qは前年割れはほぼ確実で、3Qは物流倉庫が
増設される恩恵がまだ受けられません。
ゆうゆーさんの分析通りだとしたら来1Qは凄まじい決算になりますね。
そこの発射台の位置がどこになるのかを探る一年となりそうですね。
またエニグモは私だとスクリーニングで弾かれてしまう銘柄なので、
すごく関心がありました。
PER15倍まででスクリーニングをしてしまうと、こういう銘柄を弾いてします。
機械的なスクリーニングは便利ですが、頼りすぎてはいけないという教訓になりました。
Re: No title
ユリウスさん、こんにちは。

フジコーポの今期の2Qは、確かに前年割れは免れないでしょうね・・・。
ただ、その分3Qで盛り返してくることが考えられますので、
通期で見ればほとんど影響はないと見ています。

まぁ、新倉庫の件もあまり過度に期待はしていませんが、
プラスに働くのは間違いなさそうなので、
どこかの時点で再評価される可能性は高いのではないか、と思います。

エニグモは、成長よりも割安にウェイトを置かれる方には、
絶対に手が出ない銘柄だと私も思います。
以前、上手くいったシュッピンと似たようなイメージでいるのですが、
(シュッピンもPER18倍で買って成功したので)
はて、どうなることやら・・・(笑)
はじめまして
ゆうゆー様

初めてコメントいたします。ブログはかなり以前から拝見し、勉強させていただいております。

さて、フジ・コーポの新規出店はだんだんと雪の少ない地方に移っているようですが、雪の少ないところでは、ホイールの種類の多さがウリになっていくのではないでしょうか。フジのHPを見ると、かなり車好き向けの店のようなので(私には入りにくい)、中京とか近畿とか、雪は少なくても人口密度が高いところは出店余地があるかと(さすがに九州・四国となっていくとカーマニア人口が・・?となりますが)。
そのようなわけで、短信にあるホイール売上げがどう伸びるかに着目しています。








Re: はじめまして
ツィナンダリさん、はじめまして。

いつもお読みいただき、ありがとうございます。
おっしゃる通り、フジコーポはスタッドレスタイヤ屋さんであると同時に、
カーマニア用タイヤ屋さんでもありますね。

カーマニアは、ホイールにとてもこだわりますから、
ツィナンダリさんの見方は間違っていないと思います。

雪は降らないが人口密度の高い地域の場合、
雪は降るが人口密度の低い土地とは違ったニーズがある、というのは、
なるほど・・・と思わせられる面白い考え方ですね。

仮にその通りであれば、西日本でもまだまだ出店余地はありそうです。
今後が楽しみですね。
こんにちは。興味深く拝見しました。まるで、推理小説のように推理、予想していくんですね。 勉強になります。昨日発売の四季報を見たら、ややネガティブなコメントとの印象をもちました。ゆうゆーさんは四季報予想やコメントを考慮に入れてますか?
Re: タイトルなし
としさん、こんばんは。

おっしゃる通り、銘柄分析や決算分析はまさに推理小説ですね。
実際に起きている現象と想像力を働かせて、企業の真の姿を見抜くことです。

四季報のコメントについてですが、私はまったく気にしていません。
「四季報を見て買う人がいるのだから、四季報のコメントも無視はできない」
と、おっしゃっている方もよく見かけますが、
私はもっと長いスパンでの株価の上昇を捉えようとしているので、無関係です。
四季報のコメントが良かろうと悪かろうと、
業績を伸ばす企業はいつか株価も上がりますし、逆もまた然りです。

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