長期投資なら勝てるという根拠

こんにちは、ゆうゆーです。

「将来の業績向上について、世間から高い期待を持たれているような企業は、その期待は全て株価に織り込まれているため、投資リターンには繋がらない」といった意見をたまに耳にします。

具体的に言えば、年率20%成長を今後5年間に渡って遂げる企業があったとして、その企業がPER10倍で売られていたとします。
この情報だけなら、ほとんどの人は「割安だ、お買い得だ」と答えるでしょう。

しかし、その成長が本当に実現するかどうかはもちろん分からないわけで、想定どおりに成長しないケースも十分に有り得る、と市場に見透かされた結果、PER10倍という価格をつけられているのだ、とも考えられます。

つまり、「成長性も衰退性も、倒産確率も10倍成長する確率も、ありとあらゆる将来性の想定が全て織り込まれた市場平均が、今の株価なのだ」という考え方ですね。

もしこれが事実なら、ファンダメンタルズ投資で市場を勝ち抜くのは、たとえ長期投資であっても極めて難しいと思います。
少なくとも、市場参加者の平均を超える企業分析力を持っていなければ、株式投資に参加してもお金は減る一方だ、ということになってしまいます。

でも、本当にこの仮説は正しいのでしょうか?
結論から言えば、私は そうは思っていません。

もちろん、そのような想定が株価に影響している部分も少しはあるでしょうが、それよりももっと大きな「株価を動かす要因」があるのではなかろうか、と考えています。

それは何かといえば、人間の持つ「早く結果を出したい欲」なんですね・・・。

世の中の人間の大多数は、結果主義人間なんだと私は思っています。それも、短期の結果主義なんだと思っています。

とにかく市場には、明日利益を出したい人が溢れているようです。明日とは言わないまでも、次の四半期決算が絶好調そうで儲かりそうな銘柄を、我先にと血眼になって探しているんですね。

そのように思う根拠ですか?
では、ツイッターとか、ヤフー掲示板とか、2ちゃんねるの株式投資板でも見てみればいいと思います。ここ三ヶ月の上がった下がったで、みんな一喜一憂しているではありませんか。

買ってから半年間も下がり続けるような銘柄を掴んでしまったら、もうその投資は、世間には失敗と認定されます。これは証券会社のディーラーなんかでも同じだと思います。

そもそも証券会社側としても、そのディーラーが有能か否かを判断するのに、給料を支払いながら悠長に5年間も待っていられないわけですから、短期の結果で判断するのは当然といえば当然なのかもしれません。


真の長期投資家は、本当に少ないと思います。
(私だって、真の長期投資家から見れば首を傾げられるかもしれませんが・・・)
しかし、少ないからこそその有効性がいつまでも保証されるのです。

(なぜみんなあなたの投資戦略を真似しないのか、という質問に対し)
ゆっくりお金持ちになりたい人なんていないからです。
【ウォーレン・バフェット】


仮に、市場参加者の8割が長期投資家になってしまったら、もう長期投資という手法は通用しなくなってしまうでしょう。
ただ、ツイッターを見れば「まぁそんな時期は来ないな・・・」と安心させられます。

次の四半期決算、もしくは次の本決算で上方修正が出そうな銘柄にみんながこぞって集まる今の状況こそ、次の決算ではなく5年後の決算が良さそうな銘柄を買う投資が有効であるという、何よりの証拠とは言えませんか?

人気のない銘柄というのは、当然割安に放置されやすい銘柄であり、そういう銘柄を買う投資法は成功しやすい投資法でもあると思うのです。


以上より、株価は決して5年後の業績を織り込んではいないと私は考えます。10年後となると、さらに織り込まれていないでしょう。
まぁ、中には織り込んでいるものもあるかもしれませんが、そういう明らかな高値をつけている銘柄は簡単に除外できるはずです。

また、5年後に大きく成長していると予想した投資先でも、予想が外れて失敗投資になってしまう場合だってあると思います。そういう意味では、絶対確実な投資法なんてありません。

しかし、長期的な企業の成長性と株価のギャップに目をつけるというやり方は、それこそ市場参加者がこぞって目をつけているような、期待が既に株価に織り込まれているかどうかも分からないような株を買うよりは、はるかに期待が持てる投資法であるように思います。

コメント

No title
ゆうゆーさん、こんばんわ。

株価をメインに考えると右往左往するというのを、実感中です。
見てる掲示板などからですが。

自分自身は最後に売ったのは半年前くらいかな?
ゆうゆーさんの成長率の計算に、自分の考え足したら、売買することがなくなりました。
その時、投資方法変えるに当たって、全銘柄入れ換えました。
おかげさまで今はのんびり四半期やIR見るくらいです。

業績に変更なければ保有、異常に高値をつけるか、明らかに業績が下がれば売買の考えです。

バフェットはアメリカンエキスプレス(だったと思います)が、サブプライムの時50ドルくらいから、一桁台になったときも業績に深刻な影響はないと買い増しました。その後結局100ドル付近まであがりました。

グレアムは買った株は業績に関係なく、市況状況で半分くらいになる、慌てないこと。と記述していました。

上のようなバフェットやグレアムのことも、読んだり聞いたりして知ってたのですが、自分なりに落とし込めたのは、ゆうゆーさんのブログを読んでからですね。

それまでは「よし、バフェット見習って長期投資だ」→翌日売却&回転売買、決算書は読まない。理由は何となくとチャート。
とかでしたから(笑)

今はできるだけ確実に年月かけながら、資産を増やしたいと思います。
長文失礼します。
No title
賢明に長期投資を行っていれば儲かる
これはその通りだと思います。
バフェットはもちろんのこと
多くの有望な銘柄の長期チャートを見ればわかります。
そして、エリア拡大型の優良企業は納得のチャートになっていると思います。
その分株を持っていなかったことを少しだけ悔やみますが、、

しかし、やはり自身の保有株が下がると不安になります。
そこで自分に自信が持てるかどうかは自分の投資法で大きな成功体験があるかだと私は思います。
こんな事を言っている私もまだ成功体験はあまりないので
喜怒哀楽が激しい投資生活を送っているのですが
そんな時にゆうゆーさんのブログやバフェットら
長期投資家の本を読むと改めて自分の投資方法について
考えさせられるので非常に助かっています。

明日は4/1日、ゆうゆーさんは社長スピーチでしょうか。
社長就任の記事も面白かったので社長業に関する記事も
楽しみに待っています。

長文失礼致しました。
No title
ゆうゆーさん、こんばんは。

ゆうゆーさんの様な優れた経済感覚と人格の方の下で
働く事が出来る方は幸せですね。
今日は新入社員をお迎えになるのでしょうか?
さて今回の記事のキーポイントは欲との戦いだと思いました。
これをセーブするのはすごく難しいですね。
特に決算日は非常に難しいですよね。
今でも帝国繊維の損切りの時の事を思い出します。
30分で25%以上下落するという相場に遭遇した時、
もう少し早く判断できなかったのかと考えます。
私は決算が出てから8分後に損切りしました。
その8分間で決算短信を速読し、
ストーリーの崩れを確認して売却しました。
しかし決算発表時は張り付いていたので、
30秒後に1ページだけ見て売ることも出来ました。
こうすれば決算の被弾は全く無い状況でした。
今でも長期投資を大事に思うが故に
ストーリーの崩れにだけは非常に敏感になってしまっています。
5年後を見据えるにはまだまだ修行が続きそうです。
ディーラーについて
こんにちは、ディッキーと
申します。
以前にもコメントさせて頂きましたが、ディーラーをしております。

会社が5年も待ってないということですが、実際は3ヶ月です。
トータルマイナスは論外、最低でも
月100万くらいは残さないとやばいです。(これでも会社に利益はありませんが)
ちなみに自己資金では短期ではなく
リンチエナフンさんを参考にほったらかし投資をしておりますので、
一応長期投資家ということで
お許しを?笑
Re: No title
すりぃさん、こんにちは。

長期投資はとても退屈なんですよね。
一度分析して買いに至れば、月に一度のIRチェックで十分だと思います。
株価も、週間や月間パフォーマンスを計算する時に高値になっていないか、
チェックする程度でいいですね。
むしろ、パフォーマンスは年間計算だけでも良いかもしれません。

株価を眺めていると、毎日毎日、その日の主人公が登場します。
それはそれは凄い上昇を演じるので、その株を持っていない人にとっては、
何だか損をした気分にもなってしまいます。

ですが、そんなのは全くの幻想なんですね・・・。
その日に急上昇する株もあれば、当然ながら急降下する株もあります。
また、全体的に急上昇する日もあれば、急降下する日もあります。

人間という生き物は、ついつい青い芝の家に目がいってしまうものなんですよね。
そのことを冷静に分かっているグレアムやバフェットは、
全く周りに流されることなく、淡々と自分の投資手法を貫いているようです。

私たちも、きっと着々とそんな投資家に近づいていると思いますよ。
この調子でこれからものんびり、コツコツと資産を積み上げてゆきましょう。
Re: No title
Beyanさん、こんにちは。

確かに合理的な投資理論や、それに基づいた投資手法は必要なのですが、
理屈では正しいと感じていても、本当にそれで良いのか不安になることはありますね。

この不安を打破してくれるのは、まさにBeyanさんのおっしゃる成功体験でしょう。
誰でも初めは経験がなく、もちろん成功体験もありません。
これでいいかな・・・と恐る恐るやってみて、
何となく自分の思っているような成果が出ることによって初めて、
本当の自信を持てるんだと思います。

これはもう、自分で実際に経験してみて初めて得られるスキルなんですね。
私の場合は、自分一人の力で分析して買ったトレファクで大成功できたことで、
今までの殻を破れた気がしています。

また私の会社は決して大きな会社ではなく、新入社員も少ないです。
今回は改めてスピーチという形は取りません(笑)
ただ、社長業に関する記事も楽しみにしていただいているということで、
そういった内容でもまた発信してゆきますね。
Re: No title
ユリウスさん、こんにちは。

そのように言っていただけて非常に光栄です。
社長室のイスが気持ち良すぎて、眠ってしまわないように気をつけます(笑)
従業員みんなへの感謝の気持ちを忘れないように・・・。

帝国繊維の損切りの話ですが、発表直後に売却の判断ができず、
結果として25%以上の下落を喰らってしまったことは、
これはもう結果論であり、どうしようもなかったことではないでしょうか?
ことプロセスを見れば、30秒で損切りできなかったことが失敗とは私は思いません。

これは、逆のパターンだってあり得ると思います。
私の保有株の一つエニグモは、前の本決算を受けてPTSでは大暴落しました。
しかし、それから2週間経った今となっては、以前よりも上がっている状態です。

こんな動きを、誰が予測できるというのでしょうか・・・。
私たちは、こんなマネーゲームに参加せずにじっくり時間をかけて決算を分析し、
落ち着いてから悠然と動けばいいと思いますよ。
時間をかけてといっても、分析に何ヶ月もかかるわけではないでしょうからね。

成功/失敗を分ける要因は、こんなところには無いと私は思っています。
Re: ディーラーについて
ディッキーさん、こんにちは。

ディッキーさんはディーラーでしたね。
本業の方から貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。

やはり三ヶ月で判断されるものなのですね・・・。
素人の想像に過ぎませんが、なかなかのプレッシャーがあるのだろうと思います。
しかし、そんな中でディーラーをやり続けられるディッキーさんは、
かなりの腕前をお持ちなんでしょうね。凄いです。

でも、そんな腕前を持ちながらも自己資金では長期投資ということは、
やはりディッキーさん自身も、長期投資の有効性を感じておられるのでしょう。
個人投資家の強みを活かせる長期投資には、やはり可能性を感じますね。
恥ずかしいのですが質問させていただきたいです
はじめまして。
いつも勉強させていただいております。
株を始めたばかりです。
私もBS11を買わせていただきました。

ビギナーズラックもあり、今のところそれなりに
収益を上げることが出来ています。
FPGなどは持っていないのですが(笑)

内外トランスライン、共立メンテナンスなどで
利益を上げることが出来ました。

実は決算書の読み方も分からないのに
直感で投資しているという感じなのです。
実力をつけるために勉強したいのですが、
ゆうゆー様はどのように勉強されたのでしょうか。
ご教示いただけるとありがたいです。
Re: 恥ずかしいのですが質問させていただきたいです
ゆづるさん、はじめまして。

決算書の読み方ですが、私の場合は何かの教科書を読んだわけではなく、
実際の投資(決算分析など)の中で、分からないことはネットで調べたりして、
だんだんと覚えていった感じです。
今の時代、分からない用語があれば簡単にネットで調べられますからね。

もちろん、「決算書の読み方」的な本を何か一つ買っても良いと思いますが、
私はそういうものを使わずに覚えてきたので、
申し訳ありませんが、紹介できる本などは残念ながらありません。

ただ、直感でやるのは今後のことを考えると少々不安ですね・・・。
ぜひ早いうちに、最低限の知識だけは身につけられて、
荒削りでもよいので自分なりの投資手法を確立されることを私はオススメします。
アドヴァイスありがとうございました。

BS11は一部昇格目当て、共立メンテナンスはインバウンド
だから上がるだろうという単純な理由で買っていました。

私も決算書を読めるようにネットなどを使って
勉強していきます。

ゆうゆー様のブログはテニスのことなども
楽しく拝読させていただいております。

お忙しいのにアドヴァイスいただきまして
本当にありがとうございました。

Re: アドヴァイスありがとうございました。
ゆづるさん。

まぁ、細かいことは考えずにそのような単純明快な材料一つで買うのも、
意外に良い方法なのかもしれませんね。
細かい部分まで考えれば考えるほど良いというわけではありませんからね。

とはいえ、やはり基本的な部分は知っておく必要はあると思います。
インバウンド期待といっても、それを織り込んで余りある高値で購入すれば、
なかなか思うような成果は上がらないかもしれません。
割高かどうかを判断するためにも、基本的な会計知識は必須ですからね。

そういえば、最近はテニスのことをあまり書いていませんでした(笑)
また、いろいろなテーマで書いてゆきますので今後ともよろしくお願いします。
財務諸表を学ぶなら
ゆづるさん
横レスとなりますが、投資家として会計を学びたいなら「財務3表一体理解法」という本がオススメです。
http://goo.gl/O48mBR
多分飽きずに読めます。
こんばんは。
ゆうゆーさん、こんばんは。確かに、株式においては短期志向な人々が多いと思います。だからこそ、長期の株価水準において、歪みが生じてチャンスが出来ると感じています。

個人的には株式に限らず、リフレッシュの為にも、ネットと繋がらない時間をもてたらなと考えています。
先日はメールの方からの書き込み失礼しました。いつもはガラケーからでパソコンからの書き込みが分からず失礼しました。
Re: こんばんは。
としさん、こんにちは。

世の中の投資家を、短期投資家か長期投資家かの二つに分けてみれば、
短期投資家が9割、長期投資家が1割くらいの比率になるのでは、と感じています。

まぁ、これは感覚的なものに過ぎませんが、
書店に並ぶ株本の比率を見れば、そんなもんではないでしょうか。
この歪みこそチャンスなんですよね。

また、長期派だと常にパソコンに貼り付いている必要もありませんから、
それもメリットですね。
(と言いつつ、貼り付いて毎日株価をチェックしてしまうのですが・・・笑)

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