四半期決算分析(日本BS放送 H27.3Q)

こんにちは、ゆうゆーです。

先日発表されました、BS11の3Q決算につきまして、決算短信および決算説明資料の数値等から簡単に分析をしてみましたので、ここでご紹介したいと思います。

まず、先日発表された今期3Qの決算の数字を加えて、2013年3Qからの四半期ごとの数字をまとめて、表にしてみました。
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この表の数値は全て、過去の決算短信と決算説明資料から算出できるものであり、四半期の累計の数値ではなく単独の数値を記載しています。
尚、決算短信に書かれている数値は全て、その期の累計の数値ですので、当四半期の数値から前四半期の数値を引くことで、単独の数値が出てきます。

まず、この表から売上高と売上総利益のみ抜き出し、グラフ化してみました。

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売上高は順調に右肩上がりになっており、まずは第一関門クリアです。一方、売上総利益の方はここ最近、伸びにやや鈍化が見られる印象です。

ここはスルーせずに、もう少し突っ込んで分析してみましょう。
既にご存知だと思いますが、「売上総利益=売上高-売上原価」でありますので、売上高が順調なのに売上総利益が鈍化しているということは、売上原価が原因であると分かります。

そして、その売上原価の主な項目が番組宣伝費用と放送関連費用ですので、次はその推移を見てみます。

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番組関連費用は、四半期ごとにバラツキがあるものの概ね増加基調ですが、一方の放送関連費用は何と右肩下がりになっており、また、その右肩下がりがここ最近で終息していることが分かります。

これで、売上総利益の右肩上がりが鈍化している原因がおおよそ分かりました。放送関連費用の右肩下がりの終息が、この原因ですね。

そして、今後はこの放送関連費用はヨコヨコで推移してゆくはずですので、今後は以前のような大きな総利益の伸びは期待できないだろう・・・と分かります。

とは言っても、ここ2年の数字を見る限り、総利益の伸び幅(金額)は、放送関連費用の削減額を十分に上回っていますので、
売上高が伸びれば売上総利益も伸びる、というストーリーの前提は決して崩れたわけではないとも判断できます。

分かりやすく言えば、以前は売上総利益率の改善も成長に寄与してきましたが(2013年3Q時点:47.6% → 2015年3Q時点:52.5%)、今後はそれがなくなり、今の総利益率の維持に留まるだろう、ということです。
ただ、総利益率が一定であれば売上の伸びに伴い、総利益も伸びるということです。


さて、売上総利益の推移に納得したところで、次は営業利益に着目したいのですが、「営業利益=売上総利益-販売管理費」でありますので、販売管理費と、その主な項目の一つである広告関連費用の推移を見てみましょう。

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2014年4Qと、2015年3Qに販売管理費が突出して高いことが分かります。
そして、最初に出した表を改めて見てみれば、やはり、2014年4Qと2015年3Qが他の四半期に比べて営業利益率が大きく下がっていることも分かりますね。

2014年4Qに関しては広告宣伝費用は増えておらず、販売管理費が増えた原因は、この資料だけではハッキリとは分かりません。販売管理費の中には、広告宣伝費用以外の項目ももちろんありますからね。

しかし、先日発表された2015年3Qに関しては、明らかに広告宣伝費用の増加が、販売管理費の増加に影響を及ぼしていることが、グラフの相関を見れば判断できると思います。

尚、この3Qの広告宣伝費用の増加に関しては、「新番組、(機械式)接触世帯数調査に向けた広告宣伝活動の強化による増加」と、決算説明資料には書かれています。

一応、決算短信と決算説明資料から分かる事実はここまでですね・・・。

ここまでは、少しの財務知識と気合いさえあれば誰でもできることであり、これだけでも随分と多くのことが分かるのだな・・・と感じますよね。特にこのBS11は決算説明資料が丁寧であり、分析がしやすくてありがたいです。

あとは、想像力を働かせたり、場合によってはIRに問合せをしたりして、「3Qの広告宣伝費用の増加は一時的なものだろうか? 今後も続くのだろうか?」「今後も続くとしたら、どの程度の成長率の押し下げ要因になるだろうか?」などと、今後の見通しを立ててゆけばいいと思うんですね。

ここまで考えれば、私の当初の想定であった「成長率20%」というのは、もう少し保守的に見ておいた方がいいかな・・・と思ったりはするものの、3Q単独の営業利益が減益だったことをもって成長ストーリー崩れを疑うのはあまりに短絡的であることは、少なくとも分かると思います。


時には、分析してストーリーを立ててもそのストーリー通りに事が進まないこともあるでしょう。
もしかしたら、それは「時には」ではなく「しょっちゅう」かもしれません。

だからといって、分析してもしなくても同じなのか? と言われたら、決してそんなことはないと思います。
全く分析せずにランダムに銘柄を選べば、上手くいく可能性は50%ですが、そこにこの程度の分析を加えるだけで、その成功確率は60%にも、あるいは70%、80%にもなると思っています。

60%程度の成功率では、「ランダムで選んだ場合とあまり変わらないなぁ」「分析なんて無意味なのなかぁ」という印象を持ってしまうかもしれませんが、2回、3回連続で思い描いたストーリー通りにならなかったからといって、そんな短期間の結果だけで判断すべきではありません。

仮に60%の成功率なら、その有効性が目に見えて結果に表れるまで、結構な長い時間を要すると思います。
「ファンダ分析など無意味」と開き直っている方をたまに見かけるのですが、私は無意味だと開き直る姿勢こそが、無意味だと思いますね。

読者のみなさま、上手くいかないことも多々あると思いますが、決して投げ出すことなく、真摯にファンダ分析に取り組んでゆきましょうね。

結果が出ないとき、どういう自分でいられるか。
決してあきらめない姿勢が、何かを生み出すきっかけをつくる。
【イチロー】

コメント

No title
 ゆうゆーさんはHNの通り、ゆうゆーとした方ですね。
社長の息子という育ちのよさから来るゆとりもあるし、お人柄もあるのだと思います。またブログ用口座は100万円と庶民的であっても、富裕層特有の落ち着きもあり、我々貧乏人とは一線を画しているという点も見逃せません。

 私は今回の下げであわててしまい、要らぬ損切りをして口座をいためてしまいました。その背景には上がっている株を見るとうらやましく、自分の下がり続けている株と含み損に憂鬱といらだち焦りを感じていたことがあります。これ以上、損したくない!と後で考えれば損する行動に走りました。


 日経が2万代になると割安成長株を見つけるのも難しくゆうゆーさんのようにどっしりと構える強さとゆとりがなければ長期投資などできないと改めて学びました。

ゆうゆーさん、本当に立派です。
すごく支えられ学ばされています。
支離滅裂ですが、感謝しています。私もゆうゆーさんのように(他の人の株があがるのを見て寂しいと思うことはあっても、全ての上がる株を買える訳ではないのだから)自分の株があがる順番を待つことにします。

Re: No title
さくらさん、こんにちは。

温かいお褒めの言葉をいただき、大変光栄です。
自分もまだまだ成長途上の人間であり、決して成熟した人間ではありませんが、
そのようなお言葉に恥じない自分になれるよう、
もっともっと精進してゆかないといけないな・・・と感じました。

先日の下げは、なかなか厳しいものがありましたね。
こういう時は特にイライラしたり、怖くなったりして冷静に考えられなくなり、
「何となく」という、一番当てにならない根拠で売買したくなりますよね。

いっそのこと、株価なんて見ない方が合理的な行動を取れるとも思いますが、
現実問題としてそういうわけにもいかず・・・。

「株価は、短期的には何でもアリなのだ」という理屈を理解しておくことと、
あとは経験を積むことでしょうかね。
私だってまだまだですが、それでも投資を始めた頃と比べれば、
株価の上げ下げに一喜一憂することも減ってきたように感じています。

一社に全てを賭けたり、レバレッジを効かせて(借金をして)投資したり、
「怖くなってきたので売る」といったようなギャンブル的な行動さえ抑えれば、
株というのは、長期的に見てとても期待値が高い投資商品ですからね。

私の方こそ、こうやって温かいコメントをいただけることに感謝しています。
ぜひ今後ともよろしくお願いします。
こんにちは。
ゆうゆーさん、こんにちは。
いつも楽しく勉強させて貰っています。

素人の私がゆうゆーさんのブログを知って、一気読みさせて貰いましたが、非常に分かりやすく論理的で知識もどんどん増えてきました!

今2回目を一気読み中です(笑)
意外と2回目の方が再確認と言う意味で勉強になっています。いっそ本にして欲しいです。


いきなりで申し訳ありません。
1つ質問があります。
ナンピンは、あらかじめ水準を決めておくべき。という事ですが、実際に今の保有銘柄の基準を決めているのでしょうか?
また、その水準はどうやって算出(決めて)いるのでしょうか?

差し支えなければ教えて下さいm(._.)m



No title
ゆうゆーさん、こんばんは。

先週暴落して割安になった株を、今朝の取引開始直後に拾えるようたくさん買い注文いれて寝てました。が、やっぱり朝から反発していてあまり引っかかりませんでした(笑)

ただBS11だけは先週の終値で拾えてたみたいで、ラッキーなことに6単元も追加できました。
※本当はDvxを拾いたかったのですが、暴落時にあまり下がらず残念・・・。


ところで、最近ヤフオクのCMがあちこちでやたら目立って気になっていたので調べてみました。今どき?な歌手を抜擢して大々的にCMを流し、サイトの認知度を高めて集客しているようです。
https://www.youtube.com/watch?v=qsaamGHJW8k

ヤフオクといえばもちろん中古品ですが、BUYMAと同様にブランド品も多く扱っています。もしかすると、新品にこだわらなければかなり安いので、BUYMAにとって無視できない競合になり得るのかなぁ・・・と感じました。
(もともと凄まじい知名度がありますし)
Re: こんにちは。
猫さん、こんばんは。

通しで全て二回目を読み返すなんて、自分でもやったことがありません。
それくらい自分のブログに興味を持っていただき、とても嬉しく思います。

ただ私自身、経験を通して細部で考え方が変わっている部分もあるかもしれず、
(もちろん、大きくは変わっていないはずですが・・・)
もし、最近の記事と昔の記事で辻褄が合っていないようなことがありましたら、
お気軽にご質問いただければと思います。

尚、ナンピンはあらかじめ基準を決めておくべきという考え方は、
以前からずっと変わっていません。

その基準を具体的にどうするかはその人の考え方次第だと思いますが、
私の場合「その銘柄が○円になれば、あるいはPER○倍まで落ちればナンピン」
という考え方は取っておらず、あくまでポートフォリオ全体で考えます。

例えば、今は私のポートフォリオ全体の割安さは0.8程度でありますので、
現金比率は約20%になるようコントロールしています。
(割安さの数字と、その時の現金比率の理想値は以下の記事を参照)
http://yuyutoushi.blog.fc2.com/blog-entry-330.html

この割安さの数値は、株価が上がったり下がったり、
あるいはファンダメンタルズが良化したり悪化したりすることで、変動します。
結果、「割安さの数値」と「その時の理想の現金比率」にズレが生じますので、
それを修正しなければならなくなったタイミングこそが、
私のナンピンのタイミングであったり、買い増しのタイミングというわけです。

うーん、なかなか文章で説明するのは難しいですね・・・。
もしこの説明でも分からないようなら、
記事にするなどして改めて詳しく解説しますので、再度ご質問ください。
Re: No title
KIRINさん、こんばんは。

暴落時に上手く買い増しするのって意外に難しいですよね・・・。
私もだいたい早く買い過ぎるか、買えずじまいに終わるかのどちらかです(汗)
まぁそもそも、底値で買える確率自体が非常に低いので当然なんですけどね。

バイマとヤフオクの件ですが、あくまで私の想像上の話にはなりますが、
ヤフオクがバイマのライバルになる可能性は、将来的にも低いと思います。

まず、新品と中古品は明確に利用客の種類が異なると思うんですよね。
ブランド服を中古で買うことに抵抗がある人も多いでしょうし、
(傷や汚れの具合も重要ですし、偽物かもしれませんし・・・)
そもそも、ブランド服を中古で買うという発想にはあまりならない気がします。

さらに、当然ですがバイマに比べてヤフオクでは品揃えが圧倒的に悪いです。
サイズなども含め、出品されている中から選ぶことしかできませんからね。
(ただ不況に強いのは、より低価格のヤフオクの方だと思います)

1億円分の売上のうち、10万円分のシェアは奪われる可能性はあると思いますが、
まぁ奪われてもその程度ではないか・・・と少し楽観的に考えています。
分析
ゆうゆーさんおはようございます。

とても丁寧な分析わかりやすいです。
自分もここまで詳しくはないですが四半期ごとの売上・利益の流れを追うようにしています。

この手の分析をする人が多くないのは、「知らない」というのもあるかもしれませんが、「面倒くさい」と思っている人が多いのも理由だと思います。

ただ、このような多少面倒くさいことまですることが、成功確率を確実に上げることだと思っています。
最近はExcel等便利なアイテムもあるため、それも活用していけたらと思っています。

目標は成功確率90%です(^^)
Re: 分析
みやびさん、こんにちは。

面倒だからここまでやらない、という方は多いでしょうね・・・。
でも、やらないよりはやった方が良いことは間違いないでしょうし、
費用対効果を考えると、やるべきだと思いますね。

また、あまりに多く分散しすぎないこともポイントかもしれません。
保有銘柄数が多すぎると、時間的な負担も大きくなり過ぎてしまいますから、
どうしても一つ一つに対して、おろそかになってしまいます。

テストで90点を取るのはなかなか難しいですが、学校のテストと異なるのは、
「分からない問題は飛ばしてもよい」という部分ですね。
個別株投資では、解答すると自分で決めた問題だけ取り組めばよいわけですから、
そのことを徹底すれば、成功確率90%も夢ではないかもしれませんね。
はじめまして
いつも企業解析を参考にさせてもらってます。
突然なんですが、ユニリタ(3800)という企業はご存知でしょうか?旧ビーエスピーという会社です。
指標をみると割安で成長してると思うのですが、IT系の会社でいまいち会社の内容や将来性がみえません。
お手隙の折で結構ですので、一度ゆうゆーさんの分析をお願いできないでしょうか?
Re: はじめまして
ナイトさん、はじめまして。

ご紹介いただいたユニリタという会社ですが、結論から言えば、
私もナイトさんとほとんど同じ見解です。
決算書の見た目は悪くなく、PER等の指標も魅力的には感じますが、
肝心の事業内容とか、具体的な成長ストーリーといったものが全然見えません。

私の投資対象となるには、事業内容の細かな部分は目を瞑ったとしても、
最低でも具体的な成長ストーリーがはっきり見えていることが必須条件です。
例えば、DVxならば「営業拠点の拡大」、エスクリならば「結婚式場数の増加」、
エニグモなら「バイマというサイトの認知度向上による会員数の増加」などです。

ユニリタという会社の成長ストーリー(具体的な成長の方法)は何でしょうか?
2014年の売上高の増加要因が一応、簡単に決算説明資料に載っていますが、
私には一過性の要因にしか見えません。

ただ、最初に述べたように決算書の数字やPERは魅力的に見えるのも事実です。
事業内容や成長ストーリーなどは全く見ず、決算書の数字のみ見て投資するのも、
それはそれで一つの方法だとは思いますが、
私としては、たとえこれで儲け損なったとしても他にも銘柄はあるのだから、
分からないものに手を出さない方が無難ではないか、と思いますが・・・。
No title
分析ありがとうございます。
やはりゆうゆーさんのおっしゃる通り柱が見えない企業なので、投資は見送るようにします。
ありがとうございました。

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