銘柄分析[6044 三機サービス]

こんにちは、ゆうゆーです。

お待たせしました。新銘柄の三機サービスの分析をしてみたいと思います。
まずは簡単に事業内容を確認しておきます。

三機サービスは、オフィスや店舗で使用されている空調機器やその他の機器のメンテナンスを手掛けている会社で、大きく以下の二つの事業に分かれています。

① 空調機器メンテナンス事業:大型空調機器の点検・修理(パナソニック系のサービス指定店)
② トータルメンテナンス事業:店舗・企業のあらゆる機器のメンテナンス請負


当社内の売上シェアは現状①が約40%、②が約60%ですが、営業利益のシェアになると逆転して①が70%、②が30%となっています。

では、「私の投資方針と投資手法」に従って分析してゆきます。



ステップ1:『今後安定して成長すると思われる企業』であるか?
A.成長ストーリーは存在するか?
①②の事業共に「エリア拡大型」「認知度向上型」の成長ストーリーを持っています。
当社はメンテナンス契約のストック型ビジネスとなっていますが、営業拠点の拡大、あるいは認知度(評判)の拡大に伴って契約店舗数も増加し、それが売上・利益の増加へと繋がっています。

以下は、過去7年間の売上高、経常利益と、トータルメンテナンス契約店舗数の推移です。

443.png
売上高・経常利益は長期の推移を見るため(連結ではなく)単体のものを使用、また数値を記載していない部分に関しては「H28.2Q 決算説明会資料」のグラフから、おおよその値を読み取ってグラフ化しています。
また、H22以前の経常利益はデータが無いため記載していません。

B.成長ストーリー崩れの三大要因に対し、耐性を持っているか?
1.成長限界に対して
営業拠点の分布状況を見ると、西日本はまだまだ未開拓であり、東日本も飽和状態とは全く言えません。そもそも、従業員数300人そこそこで日本中の機器メンテナンスを網羅できるはずがありませんね。
成長余地に関しては、まだまだ心配する状況ではなさそうです。

2.景気悪化に対して
不況になれば企業は設備投資を抑えますが、空調機器に関してはほぼ必需品ですので抑えるにも限界があるでしょう。
また、仮に機器の買い控えが起きたとしても既存の機器が無くなるわけではありませんので、メンテナンスの需要は常に存在し続けます。

また過去の長期売上推移を見ても、不況期に売上が急激に落ち込んでいるような感じは全く受けません。
以上より、不況には左右されにくい事業内容と言えそうです。

3.他社との競争激化に対して
①に関しては新規参入はほぼ無く、価格競争も無く、現状は同社がシェアトップであり今もそのシェアを拡大し続けています。
同社が今後もシェアを伸ばせるかはパナソニック産機システムズ社の意向次第なところがありますが、30年以上に渡りサービス指定店として信頼され続け、その地位を確立していますので、これが揺らぐことはまず考えられないですね。

問題は②ですが、①とは打って変わってライバルがひしめき合っている事業です。
どうやってこのライバルたちからシェアを奪ってゆくかですが、私が注目したのは決算説明会資料の中の「メンテナンス業界の多くは中小・零細企業(ビルメン市場規模 3.6兆円に対し、大手上場ビルメン会社5社でシェア9.4%)」の文言です。

ライバルこそたくさんいますが、その90%以上は中小・零細企業ということです。
このようなメンテナンス事業はその性質からして、業者の信頼性が非常に重要です。保守点検なんて一般人からすれば何をやっているのか分からない部分がありますので、悪徳業者も多いでしょうからね。

上場していて企業規模も大きい同社は「信頼性」という非常に強い武器を持っています。また①で培ったノウハウがある上、仮に価格勝負になっても大手の方が有利でしょうから、同社が負ける要素が思いつきません。

以上より、三機サービスは同業他社に対する競争優位性を有していると考えています。

C.もしも成長が失敗に終わった場合のリスクはどの程度か?
自己資本比率は45%ですが借り入れはほぼ無く、健全な財務状況です。売上成長の長期実績がある点も安心材料です。

ただ利益率がやや低く、業績の安定性は少し欠けるかもしれません。
また、上場したての企業でまだよく分からない部分もあることから、その分はリスクとして見ておこうと思います。

総合して、リスクは「普通」と評価します。

ステップ2:『割安な価格』であるか?
まずは、PERの適正水準を決めます。
過去の実績およびROE水準から、成長率を15%と想定しますので、仮のPER適正水準は12.0倍~18.0倍となります。リスクは「普通」ですので、これをそのまま採用します。

従って、この銘柄のPER適正水準は、12.0倍~18.0倍 となります。

現在の、この銘柄のゆうゆー予想PERは12.7倍ですので、一応は適正水準ですがかなり割安に近い価格ですね。ちなみに購入時点では割安圏内でした。



三機サービスは、ツイッターでフォローさせていただいているもぐりさんの保有銘柄で、私もそこで知りました。

買おうかどうか迷っていたところ、優待導入で株価が跳ね上がってしまい諦めモードでしたが、ここに来て優待導入が無かったかのように株価は元通り(それ以下?)になりましたので、今回めでたく購入に至りました。

コメント

No title
ゆうゆーさん、こんばんは。
私もゆうゆーさんのブログを観る前に独自で分析をしてみたんですが、
成長率は同じ15%予測だったものの、私はストーリーは認知度向上かと思ってしまいました。
エリア拡大というには以下の2点が合点がいきませんでした。
1,平成14年の兵庫以来、そこから西への新規拠点設置が無い
2,一般管理費約9億7千万円のうち主に人件費関係で約5億円の使い道は示されているが、
残りの4億6千万円強の使い道が示されていない。
ゆうゆーさんは14年間新規拠点が設置されていない事についてと、一般管理費の残額の用途については
どの様に分析なさっていますか?
Re: No title
juliusstockさん、こんにちは。

成長ストーリーは捉え方によってどちらとも言えると思います。
「あるコンビニで導入して上手くいっているので、同じ系列の別のコンビニにも・・・」という感じで拡大しているでしょうから、エリアを拡大しているとも言えますし、認知度を向上させているとも言えますね。

西日本への拠点設置が最近は無いとのことですが、東日本での濃度をさらに濃くする方針なのかもしれません。長期的に成長が続けば、いずれ西日本も充実させてくると思います。

人件費以外の経費ですが、営業拠点がありますから建物の減価償却費やら電力費やら消耗品費やら交通費やら、いろいろかかってくるのではないでしょうか?
No title
ゆうゆーさん、こんばんは。

三機サービスという会社については詳しく知らなかったのですが、機器メンテナンスサービスを売りとしている企業なんですね。どんなに優秀な機器であっても突発的な故障や性能劣化は起こり、定期的に需要が発生する事業ですので、長期の投資対象として良さそうです。

私が気になる点は、juliusstockさんも書かれているように「認知度向上型」のほうが近いのでは?と感じたのと、売上を伸ばしていくためには新規開拓も重要ではないかと思った点です。とはいえエスクリのような売り切りフロー型ではなく長期契約が前提のストック型なので、営業力というよりは信頼感が成長の鍵になる気がします。
Re: No title
KIRINさん、こんにちは。

こういう事業内容は非常に惹かれますよね。時代が変わっても決して廃れることのないビジネスと言えそうです。

KIRINさんも同社は「認知度向上型」の方がしっくりくるんですね。過去は「エリア拡大型」だったことは間違いないと思いますが、営業エリアもある程度拡大してきた今、成長ストーリーは変わってきているのかもしれません。
juliusstockさんのご意見も踏まえ、記事を少し修正しました。

またおっしゃる通り、このビジネスでは信頼感が重要ですね。信頼を得ていればそうそう変えることもないでしょうから、業績は安定しそうです。
成長性は営業力、安定性は信頼性にかかっているとも言えますね。
ゆうゆーさん初めまして

いつも楽しく拝見しております。
現在、私はシンプロメンテという、三機サービスと同業を保有しております。

自社で作業員を抱えずに、外部パートナーと協業するトータルメンテナンス事業に特化しており、三機サービスと比較して、成長性、不況耐性共に優れていると考えて保有していました。

同業他社も分析されたと思いますが、ゆうゆーさんのシンプロメンテに対する印象等、伺うことは出来ますでしょうか?

宜しくお願い致します。
Re: タイトルなし
ssbrainさん、はじめまして。

シンプロメンテも有望だと思います。三機サービスと同じで(この業界の大多数を占める中小・零細企業の中では)大手であり、上場もしていて信頼性という武器は持っているはずです。
両社は、今後しばらくは共存共栄してゆくのではと予想しています。

しかし、割安さの観点から今はどうしても三機サービスの方に惹かれます。
シンプロメンテはトータルメンテナンス一本足打法ですから(リスクも高そうですが)成長率は高いかもしれません。ここをどう評価するかで、魅力は逆転するかもしれませんね。

自社で作業員を抱えないことは、メリットにもデメリットにもなるのであまり重要な点ではないと私は考えています。
早々のお返事ありがとうございます。

確かに、成長性とリスクは表裏一体ですね。

シンプロメンテは今年度はかなり保守的な決算で、進捗がかなり好調な事から現在の株価はまだ割安だと考えています。

ゆうゆーさんのご意見もその通りだと思います。
ありがとうございます。
Re: タイトルなし
ssbrainさん、こんにちは。

確かに進捗は良好ですね。会社予想PERでは22倍ですが、上振れ余地を考えると15倍程度(もうすぐ期変わりになることを考えれば、それ以下)に見ておいても良さそうです。

しかしまぁー三機サービスにも言えますが、出来高が低く人気のない株ですよね(笑)
評価されるまでに大分待たされそうな気がします。
No title
回答ありがとうございます。

私のイメージだと・・・
「エリア拡大型」の典型はコンビニや牛丼チェーンのような業態で、お客さんの住居のすぐそばに店があれば一定の売上が見込めるのが強みです。

「認知度向上型」の典型はネット通販のようなIT業態で、お客さんの住居のすぐそばに店舗や営業所がなくても、パソコンを使って世界中で商売できるのが強みです。

三機サービスのような業態だと、お客さんが営業所に来るわけではないので、お客さんの住居のすぐ近くに営業所がなくてもメンテナンスに行ける範囲ならいい「併用型」という位置づけですね。百貨店とか家電量販店のように、1箇所でか広範囲に営業するような印象があります。
Re: No title
KIRINさん、こんにちは。

私も基本的にはそのようなイメージを持っています。
また、例えば典型的な「エリア拡大型」のALサービスでも、認知度向上という側面も多少関係していると思います。かつやが近くにできたので行くようになったという人以外にも、近くにあったことを知らなかった、あるいは知ってはいたが今まで行かなかった(口コミで行くようになった)、などといった人もいるでしょう。

そういうケースは認知度向上での成長と言えますね。既存店が毎年伸びている分はそれに当たると思います。

三機サービスの成長ストーリーはDVxに近い感じだと思います。分類はどうあれ、成長の仕組みが理解できていればOKですね。
大手占有率
こんにちは。
大手占有率は低いものの、ビルメンテ大手からするとここもかなりの小ささで、規模や信頼性が重要なこの業界で戦っていけるのか私は疑問があります。
私もホルダーですが、そこの一点がひっかかり、ポジションは小さめです。
ご意見教えていただけると嬉しいです。
Re: 大手占有率
SOOCさん、こんにちは。

顧客の目線で考えてみることが大切だと思います。
なぜ大手だと有利かということについては、「大手だと信頼できるから」という答えが予想できます。悪徳業者を掴まないことが、こういう業者を決める際にかなり重視される部分だと思うんですよね。

逆に言えば、信頼できるならば必要以上に大手である必要はないわけです。三機サービスは上場企業であったり、歴史ある企業であったり、最大手レベルではなくとも一応全国区であるが故に、信頼性という強みは十分に持っていると考えます。

仮に私の会社に導入するとしても三機サービスならば不安は無く、より大手を選ぼうとも思わないですね。
No title
ご意見ありがとうございます。
「怪しくない」会社にお願いするということですね。

そういう意味ではシンプロメンテも上場企業となり同じようなイメージですかね。
委託型と自前型どちらが伸びるのか、両社の成長を見てゆきたいと思います。
Re: No title
SOOCさん、こんにちは。

シンプロメンテもいい会社だと思います。
三機サービスとどちらが伸びるかという件ですが、私の予想では「どちらも伸びる」としておきます。外れても恨みっこ無しでお願いします(笑)

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