マクドナルドで会った優しい店員の話

こんにちは、ゆうゆーです。

先日、出張ついでにマクドナルドへ立ち寄った時のことです。
この時は一人だったのですが、家族でマクドナルドへ行った時も私が注文するメニューはいつも同じで「チキンクリスプ+ポテト+ドリンク」ばかりです。

理由はもちろん「安いから」ですね。バーガーの種類はいろいろありますが、どれもそれなりに美味しく、違いがあまり分からないので単品100円で買えるチキンクリスプをいつも注文しています。

そして、平日のみ裏メニュー的な扱いで「チキンクリスプセット」なるものがあり、正確な値段は覚えていないのですが格安です。もちろん今回も、そのチキンクリスプセットを注文することにしました。

しかし、なんとこのチキンクリスプセット、残念なことに先月末で無くなってしまったとのこと。仕方ないので、それぞれ単品で頼むことにしました。

「お会計は、○○円になります」

単品の組合せはやっぱり高くつくなぁ・・・と思いつつも、今さら変更するのも(店員さんにも、後ろに並んでいるお客さんにも)申し訳ないので、お金を払おうと財布を開いていると、店員さんがまた話しかけてきました。

「あの~・・・チーズが入っていても構わないのであれば、こちらの『チキチー』ならセットメニューもあり、お客様の選ばれた組合せよりも100円ほど安くなりますが、もしよければこちらはいかがですか?」
※「チキチー」というのは、チキンクリスプにチーズが入っている今年からの新メニューです。

ほうほう、なるほど。チーズ入りは全く問題ないですし、安くなるならそれに越したことはないので店員さんの提案に乗り、チキチーのセットに替えてもらいました。
おかげで100円ほど浮かすことができた上で、当初の注文とほぼ同じメニューを食べることができました。


これは、私にとってはありがたい話だったわけですが、この店員さんの提案はある意味マクドナルドにとっては損失です。原価は変わらない(むしろチーズが入っている分だけ高い)のに、この提案をしたことによって売上は100円も落ちるのですからね。

まぁ、この店員さんにとっては(アルバイトか正社員かは分かりませんが)固定給でしょうから損ではないかもしれませんが、得でもありません。面倒なだけなので、普通の人間ならわざわざこんな提案はしないはずです。
今月の売上を少しでも上げたい店長さんからすれば、「余計なことをするな」と思われるような行為かもしれませんね。


こんな、どこにでもありそうな何気ないやり取りを経て、私はこの店員さんを「店員の鏡だ」と思いました。この方がもし私の会社に応募してくれたら、即採用です(笑)

それはもちろん、こういう社員が増えると会社が儲かるからです。一見、会社の損につながる行為をしているように見えるこの行為こそが、実は会社の儲けにつながる行為なんですね。(この辺のことは「お金にならない仕事は、お金になる」にも書きました)

おそらくですが、この店員さんは単に持ち前の優しさからこの行動に至っただけだと思います。「その時は損をしても、長い目で見ればマクドナルドの利益になる」なんて堅苦しいことを考えて行動したわけではないでしょう。それでいいと思うんですよね。

「優しさ」というのは、何物にも代えがたい人としての宝物です。私が社員の採用を決める際に最も重視するのは、頭の良さでも資格の有無でもなく、実は優しさや誠実さといった「性格の良さ」です。優しい人間を集めて、顧客満足を軽視する会社になんてなりようがありません。だから、私のモットーとこの採用基準は合っているはずです。
問題は、本当の優しさや思いやりの深さなんていうのは、面接だけでは分からないんですよね・・・(笑)

このマクドナルドの店員さんのような人間を、社内にいっぱい増やすのが私の理想です。これはもちろん、先に書いたように「会社が儲かる」という意味もありますが、それだけではありません。

優しい人間、温かい人間、思いやりのある人間がたくさんいる職場の方が、そうでない職場よりも居心地が良いに決まっていますからね。私だって社員の一人ですから、そんな居心地の良い職場で働きたいという当然の気持ちを持っています。
仕事を「楽しい」と思える人は少ないと思いますが、少しでもそういう雰囲気に近づけるような理想の職場づくりを、私は自分の会社でしてゆきたいです。

・・・なんてことを、チキチーを食べながらぼんやり考えていたゆうゆーでした。

コメント

No title
優しい人間は多いですが、思いやりのある人間は若干少なくなりましたね。
消費者天国のデフレ社会ですから仕方のないところではあります。
労働者が労働を安売りして成り立っているデフレ社会ですから、労働者に気持ちのゆとりを持たせられるだけの余裕がある働き方をさせられるかどうかがカギになるのではないかと思います。
ともすればあふれる情報に埋もれてしまいがちで、合理化を追求することばかりでしたからね。現場は、無駄取り、改善、作業効率化。

厳しく接することも優しさです、と言って締めたいと思います。情熱あふれる指導官、少なくなってきていますね。結果主義のドライな人間が多くなると、どうしても人間臭さが薄れてし
No title
ゆうゆーさん、こんばんは。

「目先の利益」か「継続的な利益」かを考えれば、絶対後者を選ばないといけないところです。ゆうゆーさんの例で、そのまま店員さんが何も提案してこずにお客側が単品で買ってしまうと、サイレントクレーマーといってクレームも言わずに再来店しなくなる可能性が高まるので、お店側としては結構恐ろしい話です。

お客さんの立場に立ってニーズに応えるサービスをしていれば、どんな店も繁盛します。でも多くの店では「本社から与えられるノルマ」があって店員がトンデモ対応を始めたりしますね。ノルマは大概「企業側の目先の利益」を取りに行く策なので、リピーターは増えないと声を大にして言いたいですね。
No title
ゆうゆーさんだったら私を雇って、仕事二つ掛け持ちでそれでも手取り20前後の30代ですが(笑)

職歴無し学歴なしの自分はもう無理なんだぁ

らしくない…?
ゆうゆーさん、こんばんわ。

これまでの全ての記事を読ませてもらっています。
ただ今回の記事は、いつものらしくないというか少し納得できない自分がいます。
というのも、揚げ足を取るようですが本当にこのマクドナルドの店員がゆうゆーさんの会社に応募してきたら即採用ですか?
たったひとつの行動で採用できる判断をするのか、また他の要素は全く見なくていいのか、というのが、らしくないなぁ納得できないなぁと思ってしまいました。
自分が細かいことを突っ込み過ぎなのかもしれませんがゆうゆーさんの記事はいつも細かい部分でも突っ込み所がなく感心してたので敢えてコメントしています。気を悪くしたらすいません。
Re: No title
MEANINGさん、こんにちは。

「労働者に気持ちのゆとりを持たせられるだけの余裕がある働き方をさせられるかどうかがカギになる」というのは、良いヒントになりました。余裕があってこそ人は優しくなれるのかもしれませんね。

無駄取り、改善、作業効率化だって必要なことですが、ここで忘れてはいけないのが労働者は機械ではなく、気持ちを持った生き物だということです。その気持ちを理解し、上手くコントロールすることもトップに求められる重要なスキルですね。

情熱あふれる指導者というと、松岡修造さんを思い浮かべてしまいました。厳しくても温和でも、そこに思いやりがあることは指導者としての一つの必要条件だと思います。
Re: No title
KIRINさん、こんにちは。

経営者自身が目先の利益にこだわる人が多いから、そのような目先のノルマを重視させるやり方が変わらないのでしょう。これはおっしゃる通り、お客さんの目線に立つという考えが欠落していますね。お客さんにとっては、その店のノルマなんてどうでもいいですからね。
むしろ、ノルマなんて決められてると知ったら不必要な物まで売りつけられそうで、逆に警戒心を持ってしまいます。

サイレントクレーマーは商売人にとって一番恐ろしい存在ですね。私も不満があれば黙ってその店を利用しなくなる場合がほとんどですから。
サイレントクレーマーについては、いつか一つの記事として書いてみたいです。
Re: No title
こんにちわわさん、こんにちは。

一行目はどういう意味でしょうか?理解できませんでした。すみません。
職歴なし、学歴なしですか・・・。もし私が面接官なら、何故そんな経歴になっているのかを尋ねるでしょうね。
Re: らしくない…?
ひかるさん、こんにちは。

このようなコメントをされるのもひかるさんの優しさだと私は捉えました。同じ批判でも、そこに愛があるかないかは文章を見れば概ね判断できます。

この店員さんが応募してきたら本当に即採用するのか?ですが、本当に即採用します。たったひとつの行動ですが、思いやりの足りない人間には絶対にできない価値ある行動で、採用の判断には十分です。
むしろ、面接で分かる情報よりも貴重な情報です。面接官が本当に見たいのは、面接用に飾られたその人ではなく、普段のその人ですから。

ただ、他の要素を全く見ていないわけではないでしょうね。無意識ですが、身なりや言葉遣いなども判断材料に入っていると思います。
大変ためになる記事ですね。私自身は営業にノルマを課す側の部署で働いているので、やや複雑な気分ですが、おっしゃってることはわかります。一方で会社としては定量的な評価が必要ですから、ノルマの設定は不可欠です。ゆうゆーさんは、例えば、お客様の立場にたった営業が原因で、短期的な損が発生し、結果、会社の目標が達成できない状況になったとき、どう考えますか?原因がお客様目線に立ったことであれば、目標未達もやむなしですか。恐らくうちの会社はそうはならない気がします…
思いやり
ゆうゆーさんこんにちは

今回も素晴らしい記事です。
【今だけ、カネだけ、自分だけ】の3だけ主義が広がりつつある日本で、このような思いやりのある応対は嬉しいですね。

人間の素性なんて、隠そうとしても行動1つや、話をしてみるとすぐにボロがでるもので、私も誠実で優しい人間が好きです。

私が勤めていた某上場企業は短絡的に利益を追求しすぎたため(短期的には成功したものの)反動で多くの社員はやめ、優良顧客も減らし、結局中長期で見ると大きな損になっていました。
人が大切にされ、人生を楽しめるぐらい余裕のある社会になるといいですね。
No title
ゆうゆーさん、こんばんわ

率直にただただうれしい対応ですね。

「目先の売上なんて大した事はない、お客様が喜んでくれればそれで良い」とこの店員さんが思っていたかどうかはわかりませんが、

素直に上記のような行動が出来るってすばらしい対応だと思います。

ほっこり記事は気持ちいいですね。
No title
ゆうゆーさん、こんばんは。
居心地の良い職場っていいですね。私の部署もそんな環境を目指しています。「外に出て気を張っているんだから、せめて会社内は居心地よくしよう」と。自分が満足していなければ、お客に満足なんて提供できません。「従業員満足なくして顧客満足なし」です。
そのせいか、私の部署は脱落者(離職)は毎年一人もいません。しかし、他の部署から甘いだの、ぬるいだの言われますけどね・・・。そして、今年も2人が別の部署に巣立っていきました。補充は新人なので、また戦力ダウンです(泣)うちの部署は「訓練所」か!っていつも文句いってます。
自分の話になり申し訳ございません。
No title
粋な計らいですね。とても良い店員だと思います。

この店員さんは、毎日メニューとにらめっこして、価格設定間の疑念を独自の思考で見事に解決されたんですね。
普通、バイトごときがそんなことを考えません。

私個人的な意見としては、マクドナルドの株は全く買う気になりませんが、この店員さんの株は買いに値すると思います。いつかきっと社会に進出し、デキる人間になってくれるでしょう。たぶん。

Re: タイトルなし
ありだんさん、こんにちは。

なかなか難しい問題ですね。私の会社の場合はそんなに大きくないので、その辺は(結果よりもプロセスを重視して)裁量で評価したりと自由が効きます。定量的な評価も必要だと思いますが、それだけでは大事なものを見落とす可能性があります。

しかし、大企業ともなるとある程度システム的に評価しないといけないところがあるでしょうから、簡単ではないですね。ただ、定量評価をするにしても今月の売上がどうという話ではなく、(投資成績と同じように)もっと長いスパンで見た成績で評価する必要があるように思います。
Re: 思いやり
安芸の故郷さん、こんにちは。

人生において一番辛いこと、一番楽しいことは人間関係に関することではないかと思います。これは経営でも同じで、最も大変なことは人のコントロールであり、一番楽しいことも人のコントロールなんだな、と感じます。

また、性格というものは一緒にいる人にある程度伝染するものと思っています。優しい人たちの中にいれば自分も優しくなれますし、逆も然りです。そういう意味でも、まずは自分の職場に優しくて思いやりある人間を一人でも増やしたい(既に今でもそういう人は多いと思っていますが)ですね。
それが結果的に顧客満足につながり、長期的な業績向上にもつながってくれる気がします。
Re: No title
ゆうひさん、こんにちは。

どういう気持ちでこの店員さんがこの提案をしてくれたのかは分かりませんが、そこに思いやりがあったことは間違いないと思います。そして、私がこの提案を受け入れたことで、店員さんの方も心なしか嬉しそうに感じました。

私がこの店員さんの立場だとして、同じ行動が取れたかどうか・・・。でも、今回の件でまた一つ思いやりの大切さを実感しました。
Re: No title
みっちさん、こんにちは。

「従業員満足なくして顧客満足なし」名言ですね。従業員を満足させる最大のポイントは、トップが従業員への感謝の気持ちを持っているか、ということだと思います。
よく社長が従業員に「誰のおかげでメシが食えると思ってるんだ!」と叱責するシーンをドラマなどで見かけますが、逆に「従業員のおかげでメシを食わせてもらっている」と社長は考えるべきですね。事実そうなのですから。

KeePer技研の社長ブログを見ていても、社員一人一人を大切に思っていることが伝わってきますよね。きっと社員の満足度も高いと思いますし、それが顧客満足度の高さにつながり、リピーターの多さに繋がっている気がします。
Re: No title
sobaさん、こんにちは。

チキンクリスプにはセットメニューがなく、そのせいでチキチーのセットより100円も高いなんて普通に考えて理不尽ですよね。この理不尽を、無知なお客さんに押し付けるというのは正義感が許さなかったのかもしれません。
真意は分かりませんが、いずれにせよこんな行動はマニュアルには絶対ありませんから、本人の思いやりが生んだ行動であることは間違いないと思います。

どこの店舗でも、この店員さんみたいな人ばかりだったらマクドナルドの株も買いを検討しようと思うんですけどね(笑)
ゆうゆーさん、貴重なご意見ありがとうございます。確かに企業の規模によっても考え方は色々かもしれません。
うちの会社は、経営陣は当然お客様目線を大切にする、と言いますが、中間管理職の人は数字に追われるので、数字とってこい!という激が飛びます。それ自体は必要なことかもしれませんが、お客様をないがしろにして取る数字に意味はないですよね。
私自身は営業ではないので、ノルマに追われることはありませんが、だからこそ、お客様のことをよく考えて仕事をする必要があるのかな、と思いました。
色々考えさせられる記事で、大変勉強になりました。ありがとうございます。
適正サービスと過度なサービス
ゆうゆーさん、こんばんわ。

現場裁量で価格を決めさせると、過度なサービスや過度な値下げ合戦に突入していくことが多いです。

特に家電量販店のように商品だけを取り扱う場合、サービス=値下げという風潮が強く、結果としてメーカーから流通から販売から、全負けみたいな謎の構造になってます。

価格とはなんぞや?と思う今日この頃です。

ですが、件のマクドナルド店員さんの場合は、裁量範囲内の提案でスマートだと思います。
例えば『じゃあ、オマケします』とか言って、勝手に値段下げちゃうのは経営者的にはNGでしょうね。
Re: タイトルなし
ありだんさん、こんばんは。

中間管理職の人間にそういう数字を求める経営陣は、本当に顧客満足を重視しているのかな?と、私なんかは思ってしまいますね。本当に顧客満足を重視しているのだとしたら、中間管理職の人間に意図が伝わっていない気がします。

数字を取るためにも、いろいろな方法がありますからね。強引な営業でも、もしかしたら数字は取れるかもしれませんし利益も出るかもしれません。でも、私ならそんな仕事は(仮に儲かっても)人としてやりたくないです。

こちらこそ、ありだんさんのそういった話を聞けて、経営者として勉強になります。ありがとうございます。
Re: 適正サービスと過度なサービス
すりぃさん、こんばんは。

価格のサービスはダメですね。価格設定に関して私の思うところは、値下げし過ぎても、ボッタクリでもダメだということです。高く買ってくれそうなお客さんでも適正価格で売る、適正価格で買ってくれないお客さんには売らないことが、長い目で見れば最善の結果を生むと考えています。

ちなみに私は、値切るという文化が嫌いです。値切る客も嫌いですし、その値切りに応じる店も嫌いです。すりぃさんの言うように、それが半ば常識的になっている業界もありますけどね。

このマクドナルドの店員さんは、ボッタクリ価格で買わされそうになった私を助けてくれ、適正価格で売ってくれた。そう信じています(笑)
お忙しいところ返信ありがとうございます。ここからは、独り言ですので、返信不要です。
私は自社の販売する商品の価格を決定する立場にあり、日々適正な価格とは何か?ということに頭を悩ませています。そういう立場から今回の記事は色々考えさせられられまして、何度もコメントを書いてしまっています。
当社の経営陣に限らず、理想と現実で頭を悩ませている人はたくさんいますが、ゆうゆーさんのように理想とすることをしっかりと発信できる経営者は多くはないと思います。私な基本、現実主義者ですが、理想が無い現実主義は良くないと思っています。
大変勉強になる記事をありがとうございます。
Re: タイトルなし
ありだんさん、こんにちは。

ありがとうございます。こちらこそ貴重なご意見をいただきありがとうございます。絶対的な正解というものは無い中で、自分なりに最善と思える思考を模索する日々です。
今後とも、私の話の中で気になる点などありましたらまた遠慮なくご意見くださると幸いです。

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